全世界の日本の在外教育施設の在籍学生数 (2024年)

海外教育振興財団(JOES)が発行していた「海外子女教育」という機関誌で「ただいま何人!?」というシリーズがあり、在外教育施設で学ぶ子女の在籍者数のレポートが掲載されていたのですが、「海外子女教育」は2023年に廃刊になってしまいました。「ただいま何人!?」シリーズは、どうなってしまうのかと気になっていたのですが、JOESのオンラインマガジンである”JOES Magazine”で無事引き継がれ、2024年の集計も以下のサイトで公開されています。

2024年のデータ(調査時期は2023年)では、全世界で日本政府が支援している「日本人学校」と「補習授業校」の在籍子女数は48,291人とのことで、2022年のデータ(44,728人)と比べると微増しています。また、私立在外教育施設と区別される教育機関(「慶應義塾ニューヨーク学院」など)や文部科学省や外務省からの援助を受け取っていないが、日本語による教育を実施している教育施設(「ニューヨーク育英学園」など)に所属している子女が5,481人おり、こちらも2022年の数 (3,950人)と比べると、増加しています。やはり、2022年の集計はコロナ禍のために数が減ったのが、2024年では戻ってきたという感じでしょうか。

小学部中学部高等部幼稚部その他特別支援
日本人学校 計12687367714245231159
補習授業校 計19670520013023752101623
私立在外教育施設 計6598792000
その他 計18576111663334610

ニューヨーク近郊の在外教育施設のデータを「ただいま何人!?」の記事から抜粋しています。2022年のデータ (https://japanese-schools-newyork.com/?p=3727)と比べると傾向などが見えてくるかと思います。

ニューヨーク近郊の在外教育施設の在外教育施設在籍者数 (2024年)

名前種類幼稚部小学部中学部高等部その他調査年月日
ニューヨーク日本人学校日本人学校コネチカット6631223.5
ニュージャージー日本人学校日本人学校ニュージャージー211923.6
ニュージャージー補習授業校補習授業校ニュージャージー4622461321523.6
プリンストン補習授業校補習授業校ニュージャージー2310633149023.5
ニューヨーク補習授業校補習授業校ニューヨーク81386844823.5
ブルックリン補習授業校補習授業校ニューヨーク318011623.10
ロチェスター補習授業校補習授業校ニューヨーク15423.6
慶應義塾ニューヨーク学院 高等部私立在外教育施設ニューヨーク3521123.11
ハートフォード補習授業校補習授業校コネチカット11467623.8
オンライン日本語補習教室その他コネチカット635782423.2
キッズ国際学園その他ニュージャージー1168721.12
ニューヨーク育英学園サタデースクール NJ校その他ニュージャージー911622523.6
ニューヨーク育英学園サンデースクールその他ニュージャージー34923.6
ニューヨーク育英学園サタデースクール ポートワシントン校その他ニューヨーク17113231023.6
ニューヨーク育英学園サタデースクール マンハッタン校その他ニューヨーク17822423.6
リセ•ケネディ補習教室その他ニューヨーク54866423.2
データ: JOES Magazine 2024年1月号「ただいま何人!?」在外教育施設在籍者数 (https://joes-magazine.com/articles/1105)より。
その他 = 文部科学省の認定校や外務省の援助対象校にはなっていないが、日本語による教育を実施している教育施設

ニューヨーク近郊の日本人学校、日本語補習授業校の傾向としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ニューヨーク近郊の日本人学校、日本語補習授業校の学生の総数は増加傾向。2024年は育英学園(全日)が学生数を公表していないにもかかわらず、総数は2,891人 (2022年)から3,020人 (2024年)に増加している。育英学園 (全日)を含むと、おそらく200-300人程度の増加があったと思われる。
  • 他方で、全日制の「日本人学校」の学生数は減少傾向が続いている。例えば、最近コネチカット州に移動したニューヨーク日本人学校は、学生総数が99名と、ついに100名を切ってしまった。2010年くらいまでは200名近くの生徒がいたので、ここ15年で生徒数が半減してしまったことになる。他方で、「日本人学校」が運営する補習授業校の人気は高く、生徒数は、860名 (2022年)から977名 (2024年)と大きく増加した。
  • コネチカットに拠点をおく、「オンライン日本語補習教室」の増加が目立つ。309人 (2022年)から449人 (2024年)と、この二年で50%近くの増加を見せた。オンラインなので、当然、ニューヨーク近郊以外の、これまで近くに継承日本語学校がなかったような場所からも子供達が参加しているのかもしれない。オンラインでの授業は、コロナ禍からの経験でいろいろな工夫ができるようになったが、果たして、継承語学校がオンラインで成功できるのか(特に、文化継承などはオンラインでできるのか)は、今から何年か経たないとわからないかと思う。
  • 補習授業校の人気は高い。おそらく、いわゆる駐在組といわれる帰国予定のある子女も、全日の日本人学校に通わず、「現地校」+「補習授業校」+「塾」といったオプションが定着しているのだと思う。また、永住予定の子女に関しても、比較的簡単にオンラインなどで日本語習得ができるようになったので(YouTubeやアニメなど)、以前よりも補習授業校についていけるレベルの日本語能力を持っている子女が増えているのかもしれない(あるいは、補習授業校が、永住者子女の日本語能力ついてに理解がふえてきたのかもしれない)。

追記: JOES Magazineでの「ただいま何人!?」ですが、やはりこれまでの正規の出版物とは違うオンラインでの情報ですので、結構、データに誤りが見受けられました。例えば、「アトランタ補習授業校」が「アトランタ州」にある(正確には「ジョージア州」)と記載されていたり、日本人学校と補習授業校の小学部と中学部の合計の数が106,989人と報告されていたり (小計を全て合わせると41,234人のはず)していました。学校の場所や合計数の誤りはわかるのですが、生徒数のデータに誤りがあった場合は発見することは不可能なので、今回のデータは参考までにとどめておいた方が良いかもしれません。

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