雑記

その他もろもろです。

  • 日本の小学校への夏の体験入学 2024年 (その2: 忘備録)

    日本の小学校への夏の体験入学 2024年 (その2: 忘備録)
    昨年に続き、今年 (2024年)も日本の小学校で体験入学をしました。あまりまとまったトピックはないのですが、忘備録までに気づいたことをメモしています。 日本の育児のペースが掴みづらかったです。よく言われることですと、日本では子供が一人で学校に登校するのですが、ニューヨークでは、常に保護者と一緒に学校に行っているので、一人での登校というのは2年目でもかなり緊張しました。案の定、下の子 (2年生)は、一度、道に迷ってなんとか帰ってこれたりしたのですが、カバンにAppleのAirtagをつけておいたので、帰りが遅ったときには、大体どこで何をしているかくらいはわかりました。あと、友だちに遊びに誘われたりしたのですが、子供たちは自分だけの判断で放課後に遊びに行ったりするのはできないと言って断ったそうです。日本の子供の方が、自分の意思で放課後の活動や、家への帰宅などを決めるというのは、通常はアメリカの方が自主性を重んじる教育をすると言われている分、おもしろいなと感じました。 手続きに関しては、非常にスムーズでしたが、制度化はされていなさそうでした。基本的に必要な書類や手続きなどは去年と同じだったのですが、手続き中に責任者の方が変わったとのことを伺い、何となくですが、その方の意向を確認する必要があるような雰囲気がありました。比較的大きい自治体なので、同じように体験入学や一時転入する人は多いところだと思うのですが、だからといって手続きが確立しているわけではないのかもしれません。おそらく責任者の方の意向や裁量などで、体験入学の可否などは変わってくるのだと思います。国全体としては、つい最近、「在外教育施設における教育の振興に関する法律」というのが制定され、日本国籍を有する海外在留の子女の教育は国の責任と明確にされたのですが (詳しくは、こちらを参照)、かといって、それが自治体レベルで確立しているとは感じませんでした。 昨年も体験入学をしていたので、登校初日に去年同じクラスだった友達から多く声をかけられたそうです。向こうは名前を覚えていてくれたのですが、うちの子供は他のクラスの子の名前を覚えられずに大変そうでした。個人情報保護のため、クラスの名簿などは配布していないそうで、クラス全員の友達の名前を覚えるのは大変だったようです。正式には名簿などはもらえなくても、下の名前だけでもリストなどを先生にお願いすればよかったと思いました。 授業は、国語や算数は追いつくのが大変だったようですが、理科や社会などの副科目、あと、特にプール授業や家庭科はとても楽しかったようでした。上の子 (5年)は、針や糸を使って何かを作るのは新鮮な体験だったようで、裁縫に興味を持ったようです。下の子 (2年)は、プールで、他の子がみんな泳げるのにびっくりしたそうです。 他の体験入学の体験記でもよく言われていることですが、給食と掃除については、クラスのみんなで準備して食事を一緒にしたり、使っているクラスをみんなで綺麗にしたりと、子供たちは、日本の集団的文化を体験できたよい経験でした。
  • 日本の小学校への夏の体験入学 2024年 (その1: 広島旅行)

    日本の小学校への夏の体験入学 2024年 (その1: 広島旅行)
    二年連続は難しいかと思っていたのですが、今年も、夏に一時帰国して、子供を日本の小学校に体験入学することができました。日本の小学校に体験入学については、去年、結構記録を残したので、今年は小学校に行っていない週末などの活動について書いてみようと思っています。今日は、週末に行った広島旅行の紹介です。 11歳と8歳の子供を連れて、大阪から一泊で広島旅行に行ってきました。当初の目標は2つあって、一つ目は子供と新幹線に乗る機会を作ること、もう一つは広島の「原爆ドーム」と「広島平和記念資料館」の見学に行くことです。これだけだったら大阪からの日帰りも可能だったのですが、連れ合いが、2023年にサミットが行われてからよく取り上げられている宮島に行ってみたいと言っていたので、宮島に一泊する小旅行になりました。 一日目: 新幹線で新大阪から広島へ。そのままJRの在来線で宮島口という駅まで行って、そこからフェリーに乗ります。在来線での移動はだいたい30分くらいで、フェリーは10分程度です。新大阪からは、2時間くらいで宮島に着きました。フェリーから降りると、そこから宮島のメインの観光スポットである厳島神社と大鳥居まで歩いて15分くらいで行けます。そこで夕方まで観光して、宿舎に移動して、お風呂に入り就寝。一日中歩き続けていたので、子供たちもぐっすり寝ていました。 宮島に行ってみてわかったことは以下の通りです。 宿泊をするのであれば、宿泊先の送迎バスが出ていて、荷物だけを預かってもらうことも可能。身軽になって観光できます。 フェリー降り場のすぐ近くにローソンがあり、また、お土産の商店街にはスターバックスなどもあります。薬局も小さいながらもあり、一応は島なのですが、なんの不便もなく必要なものがあれば現地で調達できます。 とにかく鹿が多く、外でご飯を食べたりすると鹿に狙われて食べ物を取られたりします。子供がいるのであれば、それはそれで楽しい思い出にもなります。 大鳥居は、潮の満潮時と干潮時では楽しみ方が違うので、できれば両方のタイミングで見られるといいです。干潮時には、鳥居のすぐ下まで行って写真を撮れるのですが、あちこちに水があるので、裸足にならないと靴がびしょびしょになってしまいます。あらかじめ、替えの靴下やサンダルなどがあれば重宝するかもしれません。 厳島神社や大鳥居以外にも観光地はあるので、一日あっても全ては回れないような感じです。また、観光者向けのお土産屋さんが多いので、神社や鳥居などで子供が飽きてしまっても、買い物などに行けば一日中楽しめます。 二日目: 宮島を早朝に観光して、広島市内へ移動。フェリーで宮島口に戻り、そこから広島電鉄という路面列車に乗って、「原爆ドーム前」に40分くらいかけて移動。「原爆ドーム」、「原爆の子の像」、「原爆死没者慰霊碑」を訪れた後に、8歳の子供は「平和記念資料館」はまだ早いかもということで、二グループに分かれて、8歳の子は広島城へ、11歳の子は「平和記念資料館」を見学しました。午後5時くらいに見学を終了して、新幹線で新大阪への帰路につきました。 広島市内(原爆ドームなど)に行ってみてわかったことは以下の通りです。 「原爆ドーム」、「原爆の子の像」、「原爆死没者慰霊碑」については、現地での解説などはほとんどないので、あらかじめ何らかの本やビデオなどで背景を知っておいた方がいいです。自分は、英語の本ですが、以下のような本を子供と一緒に新幹線の中で読みました。 What Was the Bombing of Hiroshima? (What Was?) by Jess Brallier (https://www.amazon.com/d/B07TG2YQZ6/) Sadako and ...
  • 日本語補習校での戦争教育について その1

    日本語補習校での戦争教育について その1
    これまでは日本語能力だけを目標に継承日本語教育を行ってきたのですが、子供が十代になると、世界の歴史に関する情報なども少しづつ学校やメディアなどで学習してくるようになりました。今回は、特に気になった日本語補習校での戦争教育について書いてみようと思います。 継承日本語教育を行っている (特に補習校として、日本の学習指導要領に沿って日本語の教科書を使って指導している)学校に行っている場合は、アメリカの学校で教えられる世界の歴史と、日本の学習指導要領による世界の歴史の間に違いが出てきます。アメリカではヨーロッパ史に重きが置かれて、日本ではアジア中心の世界史に注目するという地理的な理由による違いは良いのですが、歴史の解釈や視点が異なる場合は、継承日本語を学んでいる子女は、一つの歴史的事実に対して、二つの異なった視点を学校で教えられることになります。また、十代はアイデンティティーを形成する上で重要な時期なので、その異なる視点や意見を子供たちがどのように理解するのかは、子供の将来のアイデンティティ形成には非常に大事だと思います。 結構長いトピックになりそうなので、今回は、アメリカ (ニューヨーク市)と、日本語補習校で、第二次世界大戦がどのように指導されているかを調べたのをまとめています。アメリカは、日本と異なり教育は、連邦政府の管轄ではなく各州の管轄になっているので、「アメリカ」としましたが、これは厳密にはニューヨーク市です。以下にも書いていますが、ニューヨークという場所柄か、戦争教育はかなり前衛的な内容が教えられていますが、他の場所では違った形の導入がされているのではないかと思います。日本語補習校ですが、これは日本の海外子女教育振興財 (JOES)が配布している教科書(国語: 光村図書, 社会: 東京書籍)のみを調査しました。海外の継承日本語学校で日本の教科書を使って指導しているとすれば、おそらくこの教科書が使われているかと思います。 で、アメリカと日本語補習校の戦争教育についての単元は以下のようなものがあるようです。 日本語補習校 3年 社会 (参考: 東京書籍 「新編 新しい社会」年間指導計画作成資料3年) 「市の様子と人々のくらしのうつりかわり」という単元で、近所の人に町がどのように変遷してきたかという活動があるのですが、そこに「70年前ごろの様子」なども含まれており、次のような学習項目が含まれています。『資料や「近くに住むおばあさんの話」から、戦争で被害にあったこと、みんなの力で新しいまちが復興したことについて知り、感想を話し合う。「1945年の空襲でまちが焼けてしまった。」』 自分の感想: あくまで単元の一つの例として日本で70年前に戦争があったという事が取り上げられていて、日本がどの国々と戦争をしていたかなどということは取り上げられてません。元々、継承日本語学校/補習授業校では、社会は教えられる機会が少ないので、おそらく戦争がこの単元で学習内容として紹介されることはないのではなかと思います。 3年 国語 (参考: ...
  • NYの日本語バイリンガル/継承語教育のFacebook Page

    NYの日本語バイリンガル/継承語教育のFacebook Page
    ウェブサイトのアップーデート告知用のFacebook Pageを作りました。ウェブサイトをアップデートしたり、ブログでは記載しない情報などはFacebookで上げていこうと思っています。 リンクは https://www.facebook.com/people/ニューヨークの日本語継承語教育/61555677316930/です。よかったら”Like”/”Subscribe”してください。質問やコメントなどもしてもらえると嬉しいです。
  • 国際交流基金による継承日本語教育支援のグラント ($1,000-$5,000)

    国際交流基金による継承日本語教育支援のグラント ($1,000-$5,000)
    国際交流基金 (The Japan Foundation)は、日本語を外国語として教えている教員や学校に対して多くの支援を行ってきました。ただ、これまでは継承日本語は、外国語教育でないという理由で支援はされてきませんでしたが、2023年度から継承日本語教育支援の為のグラント ($1,000-$5,000)も開始したとのことです。詳しくはhttps://keishonihongo.org/2023/11/29/4748/で見られます。 これまで、継承日本語は、日本人学校などと同じように日系子女への教育と考えられてきたので、文科省などが担当されてきたという区分けがあったのですが、2022年6月27日に、公布、施行された「在外教育施設における教育の振興に関する法律」により、日本人学校や補習校を含んだ海外での日系子女の教育について大きな変化が(ゆっくりですが)起こっています。国際交流基金も、従来の「日本語を外国語として教えている」という垣根を超えて、日本語を継承語として学習する子女への支援も少しづつですが増やしてきており、今回、国際交流基金の大きな業務の一つであるグラントの対象に「日本語を継承語として教えている」教員や団体にも行う取り組みが始まったという感じです。 継承日本語向けのグラントは、基本的には、これまで交流基金が一般の日本語教育プログラム向けに行ってきた教材支援 ($1,000)、イベント支援 ($1,000)、プロジェクト支援 ($5,000)に準ずるものですが、従来のものとは違うグラントガイドラインが作成されています。継承日本語向けのグラントガイドラインですが、従来の国際交流基金のグラントと異なるのは以下の点です。 まず、大きく異なるのは、グラントガイドラインが日本語で作成されています。プログラムの内容は、既存の交流基金のプログラムと似ていますが、グラントガイドラインが日本語で新しく作成されているので、応募可能な条件などは既存のものと大きく異なっているようです。 応募できる団体は、「非営利の民間団体」で「過去1年以上継続的に日本語教育を実施」しているという事です。501(c)である必要があるのかどうかは不明ですが、明記されていないところを考えると、多くの継承日本語教室が正式に501(c)の認可をもらっていないという現状を考えた対応でしょうか。まだ実際にどのような運営になるのかは分かりませんが、そこら辺が曖昧になっているのは、多少はネゴシエーションの余地があるような感じがあり、期待できます。 応募できる団体の一つとして、「自助グループの場合は、複数の家庭で構成されていること」とあり、継承日本語教育の現状に理解のありそうな記載になっています。 以下、今回新しく開始された継承日本語向けのグラントと、従来の外国語としての日本語のグラントの応募要領へのリンクをリストしています。実際に見比べてみると、国際交流基金の継承日本語機関への歩み寄りの姿勢が垣間見得ます。 教材グラント ($1,000) 継承日本語教育関連図書寄贈事業: https://keishonihongo.org/karashi/wp-content/uploads/library.pdf Japanese Teaching Material Purchase Grant: ...
  • このブログに投稿する”contributors”の方募集中

    このブログに投稿する"contributors"の方募集中
    ブログを書き始めてもう7-8年になり下の子供も大きくなってしまったので、ちょっと学齢期前 (5-6歳まで)の子供向けの情報が集まりにくくなってきました。もし、ニューヨーク付近で学齢期前のお子さんがいて、このブログで情報発信/共有したいという方がいれば、ぜひご連絡ください。内容的には、継承日本語に役立ちそうな情報(イベントとか)、継承日本語を教える学校に関する情報、また、最近はあまり多くないのですが、継承日本語に関する研究論文などが発表されたら、その内容の紹介などをしています。 興味がある方は、tomonori_nagano@hotmail.comまでご連絡ください。
  • NYC DOEによるバイリンガル児童のためのイベント (4/27/2023-4/29/2023)

    NYC DOEによるバイリンガル児童のためのイベント (4/27/2023-4/29/2023)
    NYCのDepartment of Education (DOE)が、2023年 4月27日 (木)から4月29日 (土)にかけて、ニューヨーク市の公立学校で学習するバイリンガル児童とその保護者のためのイベントを行うそうです。最初の2日はオンラインで、土曜日のイベントは、Intrepid Sea, Air and Space Museum (Pier 86, W ...
  • 子供向けバイリンガル落語会 (12/10/2022)

    子供向けバイリンガル落語会 (12/10/2022)
    ニューヨークで落語を広める活動をされている柳家東三楼氏などによる子供向けのバイリンガル落語会が、2022年12月10日 (土)の7:00pmからオンラインで開催されるそうです。オンラインで行われ、参加登録が必要ですが、参加費は無料とのことです。 詳細は、https://www.rakugo-us.com/event-details/bilingual-rakugoを参照ください。 Title: 子供向けバイリンガル オンラインRAKUGO会 / Bi-lingual Online RAKUGO for Kids Date: Saturday, December 10, 2022 Time: 7:00pm ...
  • 「在外教育施設における教育の振興に関する法律」の成立

    「在外教育施設における教育の振興に関する法律」の成立
    2022年6月17日に、「在外教育施設における教育の振興に関する法律」という法案が可決されたそうです。あまりニュースなどでは報道されていませんが、大まかには、補習校を含む在外教育施設での邦人の子女(海外で生活する日本人の子女)への教育を「国の責務」として行うという内容のものです。具体的に、これまで文部科学省や外務省が行ってきた在外教育施設への支援と比べてどのような変化があるのかというのはわかりませんが、海外でも日本人の子女が教育を受ける権利を法律として決定し、予算などを法的根拠に基づいて要求できるようになったというのは良い変化だと思います。 成立した法律に関しては、参議院のウェブサイトおよび文部科学省のウェブサイトで閲覧することができます。 上記の法律から、重要と思われるところだけを抜粋しています。 基本理念 在留邦人の子の教育を受ける機会の確保に万全を期すること。 在外教育施設における教育環境と国内の学校における教育環境が同等の水準となることが確保されることを旨とすること。 在留邦人の子の異なる文化を尊重する態度の涵養と我が国に対する諸外国の理解の増進が図られる ようにすること。 基本的施策 在外教育施設の教職員の確保 在外教育施設の教職員に対する研修の充実等 在外教育施設における教育の内容及び方法の充実強化 在外教育施設の適正かつ健全な運営の確保 在外教育施設の安全対策等 在外教育施設を拠点とする国際的な交流の促進等 調査研究の推進等
  • America’s Languages Portalプロジェクト

    America's Languages Portalプロジェクト
    Mellon Foundationの支援により、アメリカの言語教育の中で少数派の言語や学習者を教えるプログラムのモデルを選ぶAmerica’s Languages Portalという取り組みが行われています。継承語教育プログラムも対象となるそうで、もし既存の継承日本語プログラムで以下の要件に該当しそうなプログラムがあれば、ぜひ登録ください。 ————————————- The America’s Languages Portal, with the support of the Andrew W. Mellon ...