継承日本語の研究

継承語に関する研究について紹介しています。日本語に特化した研究以外にも、他の言語の研究なども紹介し、総合的に継承語の維持について考えています。他にも、継承語の研究に関する入門書なども紹介しています。

  • ロサンゼルス近郊の継承日本語話者の人口動勢 (Treist et al., 2022)

    ロサンゼルス近郊の継承日本語話者の人口動勢 (Treist et al., 2022)
    Mutilingual La La Landというロサンゼルス近郊の継承語話者の人口動勢の本が2022年に出版されるのですが、その中の一章で、継承日本語の最近の人口動勢について書かれています。 Triest, M. A., Hayashi Takakura, A., & Hitchins Chik, C. (2022). Japanese: ...
  • International Guidelines for Professional Practices in Community-Based Heritage Language Schools

    International Guidelines for Professional Practices in Community-Based Heritage Language Schools
    Coalition of Community-Based Heritage Language SchoolsというUCLAにある継承語教育の研究団体が、全世界のコミュニティーベース学校(正規の学校ではなく、保護者やコミュニティー主体で始まる継承語の保持を目標とした週末やアフタースクールの学校)を調査し、(1) 継承語学校に当てはまる共通の教育原理とは何か、また、(2)継承語学校が指針として参考にできる質の高い教育とは何かを定義したガイドラインが作成されました。 Aberdeen, T., Cannizzaro, G., Douglas, M. O., Emilsson Peskova, ...
  • Community-Based Heritage Language Schools Conference (Oct 8-9, 2021)

    Community-Based Heritage Language Schools Conference (Oct 8-9, 2021)
    毎年ワシントンDCで行われているCommunity-Based Heritage Language Schools Conference (Oct 8-9, 2021)ですが、今年もオンラインで行われ、その際の発表の一部の録画が一般に公開されています。 いろいろな発表があるのですが、特に良いと思ったのは、継承語教育をサポートしている全米の団体の短い紹介ビデオがありました。継承語教育の運営者や保護者の方にはあまり直接知る機会がない団体ですが、さまざまなサポートをしているようなので、みても良いかと思います。紹介されていた団体は、以下の団体です。 ACTFL, America's Languages Initiative, Center for Applied Linguistics ...
  • 海外の日本語教育の現状 2018年度日本語教育機関調査

    海外の日本語教育の現状 2018年度日本語教育機関調査
    もう去年の話で少し出遅れているのですが、国際交流基金 (The Japan Foundation)が3年ごとにやっている全世界での日本語教育機関の調査アンケートの2018年の調査結果がレポートとして発表されました。 The Japan Foundation. (2020). 海外の日本語教育の現状 2018年度日本語教育機関調査より (Survey Report on Japanese-Language Education Abroad ...
  • 「おひさま」プロジェクト

    「おひさま」プロジェクト
    継承語話者向けの教科書「おひさま」の著者の方々(山本絵美・上野淳子・米良好恵)が2021年から教科書だけでなく、「おひさま」プロジェクトとして、定期的な公演、ワークショップなどの活動を行っているそうです。日本語を継承語として話す子供たちに関する教育情報や、おすすめの本などがウェブサイトで見られるようになっています。 月1,500円で会員登録もでき、子供の年齢に合わせた教材の配布や、各種講演会情報、教育情報を掘り下げたコラムなどを配布してくれるそうです。 現在、ウェブサイトと「おひさま」のYouTube channelでは、無料で講演会の様子が見られるようになっています。
  • アメリカ経済での日本語・英語のバイリンガル能力の必要性

    アメリカ経済での日本語・英語のバイリンガル能力の必要性
    American Council on the Teaching of Foreign Languages (2019). Making Languages Our Business: Addressing Foreign ...
  • 継承日本語話者の話す日本語の言語学的特徴

    継承日本語話者の話す日本語の言語学的特徴
    Nishikawa, T. (2019). 継承語の言語的特徴. In Kondo-Brown, Kimi, Sakamoto, Mitsuyo, & Nishikawa, Tomomi (Eds.), 親と子をつなぐ継承語教育: 日本・外国にルーツを持つ子供. ...
  • 継承日本語話者の日本語能力をどう測定するか

    継承日本語話者の日本語能力をどう測定するか
    Hasegawa, T. (2008). Measuring the Japanese proficiency of heritage language children. In K. Kondo-Brown ...
  • アメリカの日本語教育(継承語以外の日本語教育も含む)についてのアーティクル

    アメリカの日本語教育(継承語以外の日本語教育も含む)についてのアーティクル
    Kondo-Brown, K. (2014). Japanese in the United States. (23). In T. G. Wiley, J. K. ...
  • 「親と子をつなぐ継承語教育 日本・外国にルーツを持つ子ども」

    「親と子をつなぐ継承語教育 日本・外国にルーツを持つ子ども」
    タイトル:「親と子をつなぐ継承語教育 日本・外国にルーツを持つ子ども」 作者: 近藤ブラウン妃美 / 坂本光代 / 西川朋美[編] 出版社: くろしお出版 出版年: 2019 料金: 3,400 yen URL: https://www.amazon.co.jp/dp/4874248071 / http://www.9640.jp/book_view/?807 「親と子をつなぐ継承語教育 日本・外国にルーツを持つ子ども」という本が、ハワイ大学の近藤ブラウン妃美先生らの編集で2019年の9月に発行されています。海外で日本語を補習授業校などで学習している継承語の子供たちと、日本で日本語以外の言語を家庭言語として話している在留外国人の子女の継承語教育について、それぞれの分野の研究者が執筆した編集本です。四部構成で、最初の章は、言語学的な見地からの継承語についての解説、二章目は、心理、教育学的な見地からの解説、三章目が海外の継承日本語教育、最後の章が日本国内の日本語以外の継承語教育となっています。 それぞれの分野で研究実績のある人が、その分野について継承語の保護者など専門知識を持たない人向けに簡単に紹介していて、最後の方で研究の紹介(多くの場合は、執筆者自身の研究)を紹介し、さらに詳しくその分野について知りたい人のために推薦書が最後に書いてある形式です。それぞれのチャプターは10ページ程度とかなりコンパクトにまとまっています。 海外(特にニューヨークなど東海岸)の継承日本語に関して関係がありそうなのは以下の章です。 1章 バイリンガル・マルチリンガルの継承語習得(坂本光代) 2章 継承語習得と認知能力発達(田浦秀幸) 3章 家庭・学校・コミュニティにおける継承語話者の言語選択(坂本光代) 4章 日本語を優勢言語としない子どものバイリテラシー習得・発達(折山香弥) 6章 継承語学習のモチベーション/動機づけ(森美子) 7章 継承日本語とアイデンティティ形成(知念聖美) 8章 米国における学齢期の子どものための継承日本語学習の機会(片岡裕子) 9章 幼児や低学年児童対象の継承日本語教室で使う教材(山本絵美) 10章 北米の日本語学校における学習者のニーズの多様化(リー季里・ドーア根理子) 11章 外国語学習者と継承語学習者の混合日本語クラスでの指導(ダグラス昌子) 13章 海外における継承日本語学習者のための評価(近藤ブラウン妃美) アメリカで継承日本語教育に関連した内容で取り扱われていたものとしては、「バイリンガル理論」「家庭言語方策」「バイリテラシー」「モチベーション/やる気」「アイデンティティ」「在外教育施設の種類」「『おひさま』などの幼児教育教材」「アメリカの高等教育機関での継承語教育」「継承語クラスでの評価方法について」などがありました。 非常に読みやすく、しかも引用文献などがしっかりまとまっていて、継承語研究に興味がある人にはとても有益な本だと感じました。継承日本語研究は比較的最近の研究分野なので、それぞれの章で、対象としている読者や継承語に対する定義が異なっているような感じがしました。たとえば、最初の方の章(1-3)は、バイリンガル教育の理論などが主に紹介されており、継承日本語教育に特化した内容はあまり記載されていません。それ以降の章では、比較的、継承日本語に特化した内容が紹介されています。中にはかなり詳しく研究紹介されている場合もありますが、ページ数の制約のためか結構簡単な紹介で終わっている章もありました。教育者や研究者の方でしたら、引用文献リストで紹介された研究について探して読むか、各章の最後にある推薦文献を読みたいと思うかもしれません。 あと、それぞれの著者の方の専門性のせいか、時折、異なった内容が書かれてあることもありました(例えば、家庭言語方針で、一人の人が一つだけの言語を話した方が継承語教育子女にとって有益であるかどうかなどは意見が異なるようです)。