研究紹介

継承語に関する研究について紹介しています。日本語に特化した研究以外にも、他の言語の研究なども紹介し、総合的に継承語の維持について考えています。他にも、継承語の研究に関する入門書なども紹介しています。

  • 「日本語教育の推進に関する法律」関するフォーラム @ Boston

    先日、日本で制定された「日本語教育の推進に関する法律」がどのように海外での日本語継承語話者の教育に影響があるのかを議論するフォーラムが、AATJ (全米日本語教育学会)のJapanese as a Heritage Languageの部会主宰で2020年3月18日(水)にボストンで開催されるそうです。詳細は、以下の通りです。参加無料ですが登録が必要で、定員が45名となっていますので、早めに登録ください。 ———————————- 海外における継承日本語教育の充実に向けて ———————————- 日程: 2020年 3月18日(水) 時間: 7:30pm-9:30pm 場所: Public Garden room (5th floor) Sheraton Boston Hotel (39 Dalton Street Boston, MA 02199) 費用: 参加費無料 登録: http://bit.ly/AATJ-HL2020 定員: ...
  • MiiPro Corpus: 日本語母語話者の言語発達サンプル (1歳から5歳)

    日本語継承語話者の子女を育てていると、自分の子供の日本語能力が、日本語を母語として獲得している子供たちと比べてどの程度の発達レベルなのかと気になることがあります。日本に頻繁に一時帰国している場合などは、他の家庭の子女との交流などから、自分の子供の日本語継承語のレベルなどがわかるのかもしれませんが、そんなに頻繁に一時帰国できるものでもないですし、なかなか自分の子供の日本語のレベルが、日本語母語話者と比べてどの程度の遅れがあるのかはわかりづかいものです。 で、そういった際に使いやすいのが、CHILDESという言語習得研究者用のデーターベースです。もともとは、Carnegie Mellon UniversityのBrian MacWhinney氏が、自分の子供の言語発達を1970年代に音声録音したものを書き起こし(テキスト化)し、研究用に公開したのが始まりなのですが、そこから世界中の研究者が同様なデータベースを共有し始めて、英語だけでなく、いろいろな言語を母語とする子供たちの言語発達データベースになりました。 第一言語習得の研究者の中では必須のデータベースですが、一般に無料で公開されています。日本語では、愛知淑徳大学の宮田Susanne先生が率先して日本語のCHILDESデータベースを構築されています (ワークショップの資料などがこのページで公開されています)。 その宮田Susanne先生が編纂したCHILDESデータベースで、MiiPro Corpusというものがあります。1歳から5歳の、日本語を母語とする子供の音声記録をオンラインで聞くことができます。 Go to https://childes.talkbank.org/access/Japanese/MiiPro.html Click on “Browsable transcripts” Click on child’s name 言語形態学的な情報などがあり、ちょっとスクリプトは見にくいですが、音声を聞くだけでも、「ああ、日本の母語話者は、この年でこの程度の日本語を話すんだ」というイメージが掴めると思います。よく話す子、あまり話さない子などの違いはありますが、言語学的な視点から見ると、日本語の母語発達も年齢と非常に比例して規則的に発達しています。
  • U.S. Frontlineのバイリンガル教育に関する記事

    U.S. Frontlineの2019年10月号に、「押さえておきたいバイリンガル教育のカギ」 (https://usfl.com/2019/09/post/125387) という特集が組まれていました。日本語バイリンガル教育に従事している方々が、それぞれの分野において日本語と英語のバイリンガル教育に関する注意点を書かれたものです。どちらかというと、アメリカ長期滞在者(永住組)向けに書かれたもののようですが、最後の方には、日本に帰国した際の学校選びについても書かれてあり、どのようなバックグラウンドでのバイリンガル教育を考えているのかとか、場所的にもU.S. Frontlineさんが全国紙のためか、いろいろな場所を考慮したという感じの内容です。それぞれの個々の事情に対した情報というよりも、全般的な導入的な情報という感じですので、いまから子供さんをバイリンガルに育てていくという家庭の方にはオススメです。
  • Community-Based Heritage Language Schools Conference (Sat, Oct 12, 2019)

    毎年、Washington D.C.のAmerican Universityで行われている継承語教育に関するCommunity-Based Heritage Language Schools Conference (https://www.american.edu/soe/iie/heritage-language-conference.cfm)という学会がSaturday, October 12, 2019に開催されます。 日本語を含む、様々な言語の継承語学校の関係者(教員や運営者など)が集まる珍しい学会です。個人による発表がなく、どちらかというとワークショップに近い感じがしますが、それぞれの継承語学校がどのような環境で、どのような教育を行っているのかという情報交換ができるとてもよい集まりです。特に、アメリカの継承語教育に関わる全米組織の役員の人たちが来るので、それぞれの組織が継承語教育に対してどのようなサポートをしているのかというのがわかります。2019年に参加する団体は、以下の通りです。 Center for Applied Linguistics (CAL) National Heritage Language Resource Center (NHLRC) National Council of Less Commonly Taught ...
  • 「親と子をつなぐ継承語教育 日本・外国にルーツを持つ子ども」

    タイトル:「親と子をつなぐ継承語教育 日本・外国にルーツを持つ子ども」 作者: 近藤ブラウン妃美 / 坂本光代 / 西川朋美[編] 出版社: くろしお出版 出版年: 2019 料金: 3,400 yen URL: https://www.amazon.co.jp/dp/4874248071 / http://www.9640.jp/book_view/?807 「親と子をつなぐ継承語教育 日本・外国にルーツを持つ子ども」という本が、ハワイ大学の近藤ブラウン妃美先生らの編集で2019年の9月に発行されるそうです。 四部構成で、最初の章は、言語学的な見地からの継承語についての解説、二章目は、心理、教育学的な見地からの解説、三章目が海外の日本語継承語教育、最後の章が日本国内の日本語以外の継承語教育となっています。とても面白そうな本なので注文しました。また本が届いたらリビューを書こうと思います。
  • 子供をバイリンガルに育てるメリットとデメリット

    前学期に教えていたクラスで、アメリカで子供をバイリンガルに育てるメリットとデメリットをまとめるプロジェクトをしたので、それのまとめを日本語で書いておこうと思いました。バイリンガルのメリットとデメリットについて、科学的に実証されている、あるいは客観的に記載されている事実についてをまとめようというプロジェクトでしたが、研究で確立している事象だけを考えると、バイリンガルのメリットは非言語的な認知力についてのものが多く、デメリットは言語的なものが多かったのがおもしろかったです。 バイリンガルのメリット 言語に関するメタ知識(言語をコミュニケーションのシステムとして認知する知識)が高く、言語に対する反応がモノリンガルと異なる。例えば、”Which is more like CAP? CAN or HAT?”という質問があると、モノリンガルの英語話者は、音声的に近いCANを選ぶことが多いが、バイリンガル話者は、HATも意味的に近いと答える。 クリエイティビティーが高い。例えば、”Tell me all the things you could do with paperclips.”などという質問をされると、モノリンガルはありふれた答え(鍵を開けるとか)しか出せないが、バイリンガルはクリエイティビティーが高い返答(アクセサリーにするとか、キーホルダーにするとか)が出せる。 大人になってから、他の言語を習いやすい。これは、言語のメタ知識とも関係あるが、言語の仕組み(文法、第二言語の音声、音韻、言語の意味論など)を理解しているので、大人になってから自分のバイリンガル言語以外の言葉を学ぶ際に、習得が容易になる。 Communicative sensitivityが高い。Communicative sensitivity高い話者は、例えば、会話の際に、会話相手がコンテクストにないような話を始めたとしても、バイリンガルは会話相手の視点から会話を分析して会話の意味を探ることができる。 バイリンガル話者は、モノリンガル話者よりも認知症の発症が平均的に遅い。 Social mobilityが高くなる。複数言語をネイティブレベルで利用できると、交流関係や活動できる社会が広がり、国際的な仕事や生活が可能になる。 国際的な環境になくても、グローバライゼーションが進む21世紀では、それぞれの地方で国際的な知識を持つ人は重用される。最近では、地方の観光地などで中国語などの知識を持つ人が、観光者を増やすために必要になっているなど。 グローバライゼーションが進む21世紀で活躍する人材は、バイリンガル能力など国際的な感覚がある人材が必要。 国際的なバックグラウンドがある子供たち(両親が違う人種や文化を持つ子女など)にとっては、自分のルーツがある言語を知ることはアイデンティティーの確立の一部として必要。 バイリンガルのデメリット バイリンガルはモノリンガルよりもボキャブラリーが少ない。バイリンガルはそれぞれの言語(バイリンガル話者のメインの言語とサブの言語両方)でのボキャブラリーが、ネイティブ話者よりも少ない。例えば、アメリカでの英語-日本語の継承語話者だと、サブ言語である日本語のボキャブラリーが小さいのはよく知られているが、それだけでなく、継承語話者のメインの言語である英語のボキャブラリーのサイズも(同様の社会環境、教育レベルの)モノリンガルと比べると少ない傾向がある。特に、言語分類学的に離れている言語(英語-日本語バイリンガル)の場合は、ボキャブラリーの少なさは、言語分類学的に関係の深い言語(英語-フランス語バイリンガル)と比べると特に如実にあらわれる。 バイリンガル話者はモノリンガルよりも認知テスト(言語問題)で劣る(picture naming tasks, verbal fluency tasks, ...
  • 新時代海外移住者の日本語継承

    カルダー, 淑子. (2019). 新時代海外移住者の日本語継承: 日本語教育推進法案に対する署名運動から. In 喬. 宮島 et al. (Eds.), 開かれた移民社会へ. (pp. 234-241). Tokyo, Japan: 藤原書店. 「日本語教育推進法案」が2019年の国会で通過しましたが、その原案が公開された2018年から、日本語教育の推進の対象に、国内の移民者および在外(海外)の一時滞在者に限らず、海外での「日本にルーツを持って海外に永住する人」にも対象を広げようと活動を続けられているカルダー淑子先生の論文です。 「日本語教育推進法案」に関する運動に関しては、この論文が書かれてから国会通過まで紆余曲折があったのですが、この論文では深く触れられていません。主な内容は、「日本にルーツを持って海外に永住する人」に対する日本語教育の必要性について、北米だけでなく他の地域の特色なども考察して書かれています。また、海外で日本語教育を受けて日本語と現地語のバイリンガルとして活躍できる人材が、現在の日本社会や企業では良い意味でも悪い意味でも特別視されており、日本社会、企業がバイリンガル人材を活用できる場所を提供できているのかという疑問も投げかけらています。
  • 日本語の国語教育(学習指導要領)と継承語教育への子女と保護者の反応

    Doerr, N. M. & Lee, K. (2009). Contesting heritage: language, legitimacy, and schooling at a weekend Japanese-language school in the United States. Language and Education, ...
  • オレンジコースト学園の継承語カリキュラムへの移行過程

    Uriu, R. M. & Douglas, M. O. (2017). Crisis, Change, and Institutionalization: Adopting a New Curriculum at a Japanese Weekend School. In O. Kagan, ...
  • NYこどもサポート (早期介入プログラム/Early Intervention Programの解説ウェブサイト)

    アメリカ連邦政府のサービスで、発達障害のある子女に対するサービス(様々なセラピーやカウンセリング、費用支援など)を行う早期介入プログラム/Early Intervention Programの解説ウェブサイトです。サービスの内容、日本語での相談の可否、費用に関する情報などが充実しています。また、プレイデートなどの定期的な集まりも行なっているそうです。 NYこどもサポート (早期介入プログラム/Early Intervention Programの解説ウェブサイト) http://www.kodomosupport.com