継承日本語の研究

継承語に関する研究について紹介しています。日本語に特化した研究以外にも、他の言語の研究なども紹介し、総合的に継承語の維持について考えています。他にも、継承語の研究に関する入門書なども紹介しています。

  • 全世界の日本の在外教育施設の在籍学生数 (2024年)

    全世界の日本の在外教育施設の在籍学生数 (2024年)
    海外教育振興財団(JOES)が発行していた「海外子女教育」という機関誌で「ただいま何人!?」というシリーズがあり、在外教育施設で学ぶ子女の在籍者数のレポートが掲載されていたのですが、「海外子女教育」は2023年に廃刊になってしまいました。「ただいま何人!?」シリーズは、どうなってしまうのかと気になっていたのですが、JOESのオンラインマガジンである”JOES Magazine”で無事引き継がれ、2024年の集計も以下のサイトで公開されています。 ただいま何人!? (在外教育施設在籍者数). 2024年1月3日. https://joes-magazine.com/articles/1105 2024年のデータ(調査時期は2023年)では、全世界で日本政府が支援している「日本人学校」と「補習授業校」の在籍子女数は48,291人とのことで、2022年のデータ(44,728人)と比べると微増しています。また、私立在外教育施設と区別される教育機関(「慶應義塾ニューヨーク学院」など)や文部科学省や外務省からの援助を受け取っていないが、日本語による教育を実施している教育施設(「ニューヨーク育英学園」など)に所属している子女が5,481人おり、こちらも2022年の数 (3,950人)と比べると、増加しています。やはり、2022年の集計はコロナ禍のために数が減ったのが、2024年では戻ってきたという感じでしょうか。 ニューヨーク近郊の在外教育施設のデータを「ただいま何人!?」の記事から抜粋しています。2022年のデータ (https://japanese-schools-newyork.com/?p=3727)と比べると傾向などが見えてくるかと思います。 ニューヨーク近郊の日本人学校、日本語補習授業校の傾向としては、以下のようなものが挙げられます。 ニューヨーク近郊の日本人学校、日本語補習授業校の学生の総数は増加傾向。2024年は育英学園(全日)が学生数を公表していないにもかかわらず、総数は2,891人 (2022年)から3,020人 (2024年)に増加している。育英学園 (全日)を含むと、おそらく200-300人程度の増加があったと思われる。 他方で、全日制の「日本人学校」の学生数は減少傾向が続いている。例えば、最近コネチカット州に移動したニューヨーク日本人学校は、学生総数が99名と、ついに100名を切ってしまった。2010年くらいまでは200名近くの生徒がいたので、ここ15年で生徒数が半減してしまったことになる。他方で、「日本人学校」が運営する補習授業校の人気は高く、生徒数は、860名 (2022年)から977名 (2024年)と大きく増加した。 コネチカットに拠点をおく、「オンライン日本語補習教室」の増加が目立つ。309人 (2022年)から449人 (2024年)と、この二年で50%近くの増加を見せた。オンラインなので、当然、ニューヨーク近郊以外の、これまで近くに継承日本語学校がなかったような場所からも子供達が参加しているのかもしれない。オンラインでの授業は、コロナ禍からの経験でいろいろな工夫ができるようになったが、果たして、継承語学校がオンラインで成功できるのか(特に、文化継承などはオンラインでできるのか)は、今から何年か経たないとわからないかと思う。 補習授業校の人気は高い。おそらく、いわゆる駐在組といわれる帰国予定のある子女も、全日の日本人学校に通わず、「現地校」+「補習授業校」+「塾」といったオプションが定着しているのだと思う。また、永住予定の子女に関しても、比較的簡単にオンラインなどで日本語習得ができるようになったので(YouTubeやアニメなど)、以前よりも補習授業校についていけるレベルの日本語能力を持っている子女が増えているのかもしれない(あるいは、補習授業校が、永住者子女の日本語能力ついてに理解がふえてきたのかもしれない)。 追記: JOES Magazineでの「ただいま何人!?」ですが、やはりこれまでの正規の出版物とは違うオンラインでの情報ですので、結構、データに誤りが見受けられました。例えば、「アトランタ補習授業校」が「アトランタ州」にある(正確には「ジョージア州」)と記載されていたり、日本人学校と補習授業校の小学部と中学部の合計の数が106,989人と報告されていたり ...
  • 日系メディアのデータベース: AAPI Media Map & Directory by CUNY School of Journalism

    日系メディアのデータベース: AAPI Media Map & Directory by CUNY School of Journalism
    ニューヨーク市立大学のJournalismの大学院で、アジア系アメリカ人のための英語以外の報道機関のデータベースを作成するプロジェクトがあります。全米で、635社のアジア系アメリカ人のための報道機関があり、そのデータベースが一般に公開され、オンラインの地図上ででも確認できるようになっています(右のメニューにある”Directory”, “Map”, Visualizations”をクリックするとみられるようになっています)。 日系アメリカ人(日本語メディア)に関しては、以下の34報道団体が記録されています。もし他にも日本語によるメディアがあるようでしたら、プロジェクトの担当者 (kavitha.rajagopalan@journalism.cuny.edu)まで連絡くださいとの事でした。 Anis Atlanta (Atlanta, GA) Chicago Shimpo (Chicago, IL) Cultural News (Los Angeles, CA) Daily Sun ...
  • 国際交流基金による継承日本語教育支援のグラント ($1,000-$5,000)

    国際交流基金による継承日本語教育支援のグラント ($1,000-$5,000)
    国際交流基金 (The Japan Foundation)は、日本語を外国語として教えている教員や学校に対して多くの支援を行ってきました。ただ、これまでは継承日本語は、外国語教育でないという理由で支援はされてきませんでしたが、2023年度から継承日本語教育支援の為のグラント ($1,000-$5,000)も開始したとのことです。詳しくはhttps://keishonihongo.org/2023/11/29/4748/で見られます。 これまで、継承日本語は、日本人学校などと同じように日系子女への教育と考えられてきたので、文科省などが担当されてきたという区分けがあったのですが、2022年6月27日に、公布、施行された「在外教育施設における教育の振興に関する法律」により、日本人学校や補習校を含んだ海外での日系子女の教育について大きな変化が(ゆっくりですが)起こっています。国際交流基金も、従来の「日本語を外国語として教えている」という垣根を超えて、日本語を継承語として学習する子女への支援も少しづつですが増やしてきており、今回、国際交流基金の大きな業務の一つであるグラントの対象に「日本語を継承語として教えている」教員や団体にも行う取り組みが始まったという感じです。 継承日本語向けのグラントは、基本的には、これまで交流基金が一般の日本語教育プログラム向けに行ってきた教材支援 ($1,000)、イベント支援 ($1,000)、プロジェクト支援 ($5,000)に準ずるものですが、従来のものとは違うグラントガイドラインが作成されています。継承日本語向けのグラントガイドラインですが、従来の国際交流基金のグラントと異なるのは以下の点です。 まず、大きく異なるのは、グラントガイドラインが日本語で作成されています。プログラムの内容は、既存の交流基金のプログラムと似ていますが、グラントガイドラインが日本語で新しく作成されているので、応募可能な条件などは既存のものと大きく異なっているようです。 応募できる団体は、「非営利の民間団体」で「過去1年以上継続的に日本語教育を実施」しているという事です。501(c)である必要があるのかどうかは不明ですが、明記されていないところを考えると、多くの継承日本語教室が正式に501(c)の認可をもらっていないという現状を考えた対応でしょうか。まだ実際にどのような運営になるのかは分かりませんが、そこら辺が曖昧になっているのは、多少はネゴシエーションの余地があるような感じがあり、期待できます。 応募できる団体の一つとして、「自助グループの場合は、複数の家庭で構成されていること」とあり、継承日本語教育の現状に理解のありそうな記載になっています。 以下、今回新しく開始された継承日本語向けのグラントと、従来の外国語としての日本語のグラントの応募要領へのリンクをリストしています。実際に見比べてみると、国際交流基金の継承日本語機関への歩み寄りの姿勢が垣間見得ます。 教材グラント ($1,000) 継承日本語教育関連図書寄贈事業: https://keishonihongo.org/karashi/wp-content/uploads/library.pdf Japanese Teaching Material Purchase Grant: ...
  • 国際交流基金の継承日本語ウェブサイト

    国際交流基金の継承日本語ウェブサイト
    全世界で日本文化、日本語教育の支援をしている国際交流基金 (The Japan Foundation)というところが、アメリカでの継承日本語教育の拡充のため、ウェブサイトを立ち上げました (https://keishonihongo.org/)。 まだ、内容的には、継承日本語教育のモデルとなる学校が紹介されていたり、ウェブサイト上の掲示板で情報交換ができたり程度のものですが、国際交流基金は、日本政府の方針が非常に強く影響される団体で、これまでは、海外での日本語教育支援では、日本語を第二言語として学ぶ人の支援だけを行なっており、継承日本語(日本語を家庭言語として学ぶ人)に関しては支援は全く行なっていませんでした。そういう点では、非常に意味深い変化だと思います。
  • PBSのドキュメンタリーAsian Americansの無料公開

    PBSのドキュメンタリーAsian Americansの無料公開
    5月がAAPI Monthのためだと思うのですが、PBSが作ったドキュメンタリーのAsian Americansがオンラインで無料公開されています。 1時間の5つのエピソードがあり、アジア系アメリカ人の歴史について紹介されています。日系アメリカ人の歴史について深く書かれているのは、Episodes 2-3で、Episode 2では、第二次世界大戦中に日系人強制収容所に収容された日系アメリカ人たちが「アメリカの兵役に就くかどうか」、「日本の天皇には忠誠を誓わないか」などの質問をされ、その答えによって、家族がばらばらにされてしまった歴史などが紹介されています。Episode 3では、第二次世界大戦後に”Model Minority”とあだ名されて、アジア人は白人社会にとって脅威であるとメディアで報道されて迫害されるアジア人の歴史を紹介しています。 10歳になった自分の子供と見たのですが、学校でもある程度、アメリカの歴史を勉強しているので、いろいろ質問されました。たぶん、子供と見るのであれば、最初に自分だけで見て、わからないところなどは事前に調べておいた方がよいかもしれません。上記のサイトでは、教育用の解説資料やその他のリソースも見ることができるようです。 以下、それぞれのエピソードの解説です。 Episode 1 – Breaking Ground: In an era of ...
  • 日系一世移民対象の研究参加者募集

    日系一世移民対象の研究参加者募集
    カリフォルニア臨床心理大学院(アライアント国際大学)の博士学生に在籍されている谷澤香さんという方が、日系一世移民対象の研究を行っており、対象者を募集しているそうです。おそらく、継承日本語話者の保護者の方は対象になるのかと思います。詳しくは、以下の案内を参照ください。
  • ニューヨークでの継承日本語教室/学校運営の課題と問題

    ニューヨークでの継承日本語教室/学校運営の課題と問題
    Coalition of Community-based Heritage Language Schools (https://www.heritagelanguageschools.org/coalition)という会合で、 全米の継承日本語教室/学校全体でネットワークを作り、継承語教育に関する情報共有やリソースのシェアができないかという話に参加しました。まだまだ理想論で、実現は難しいなぁと感じたのですが、他方で、多くの継承日本語教室/学校が同様な問題や課題に直面しているというのは本当だと思いました。 そこで、かなり主観的な意見ですが、自分の知るニューヨーク近郊の継承日本語教室/学校に関して共有されているであろう問題や課題についてまとめてみました。 資金 ニューヨークでの継承日本語教室/学校を運営する上で最初に直面する問題は、どのように資金を調達するかだと思います。おおまかに分けて、保護者主体で (主に学齢期前の子供たちのために) 日本語による保育を行おうというインフォーマルな日本語教室のパターンと、組織として日本語教室/学校を始めようとするパターンがあるかと思います。 まず、保護者主体で (主に学齢期前の子供たちのために) 日本語による保育を行おうというインフォーマルな日本語教室のパターンです。よくあるのが、1-3歳くらいの学齢期以前の子供を持つ日本語話者の保護者が、公園やその他の地域の集まりなどで知り合いになり、日本語による保育の必要性を話し合った結果、インフォーマルな日本語による保育活動が始まるというケースです。大体、5-6家庭の保護者間で始まり、最終的に20-30家庭くらいまで行くこともあるようですが、このようなインフォーマルな会合ですと、一切お金を徴収せずに、定期的に保護者主体で無料で利用できるような図書館、教会、公園などの施設で集まって日本語を使った活動をするということはよく見られます。ある程度、組織的に日本語活動をするグループですと、場所や先生の為に費用がかかるので、活動ごとに費用を徴収していることもあります。全体的に、規模も小さく、必要な経費も、場所や先生への謝礼など実費だけですので、このパターンでは、資金はそれほど大きな問題にはなりません。 ある程度定期的に会合が開かれたり、保護者間でのネットワークが強まり、しっかりとした組織として日本語教室/学校を始めようと考えると、資金源が非常に大きな問題になります。組織として日本語教室/学校を運営するには、その地域の法律上で幼児教育や保育に必要とされる最低限の設備や事務的機能が必要になってくるので、学校の運営実費だけでなく、その他諸々の経費がかかり、インフォーマルな会合とは桁違いの経費が必要になってきます。例えば、インフォーマルな会合では必要とされなかった、事務職員の給与、保険費、賃貸料、法律上求められる安全設備の購入、先生への謝礼にかかる税金の処理など多くの事務費などが大きな支出になります。組織によってどの程度事務費にお金がかかるかは変わってくると思いますが、以前聞いた話では、ある教室では保護者から徴収した50%以上の収入が、実際の保育とはあまり関係のない事務費にかかると言っていました。 現実的に組織的に日本語教室/学校を始めるにはかなりの費用がかかるので、多くのインフォーマルな日本語教室は、対象子女が学齢期になったり、保護者が仕事を再開したり、引っ越しなどでバラバラになったりして自然解散することが多いです。ですが、時折、インフォーマルなネットワークから組織的な日本語教室/学校になるケースもあります。これまでニューヨークであったケースでは、継承日本語教育に興味のある財団などからの資金調達したパターン(非常にまれ)や既存の公立学校や非営利団体などの一部として継承日本語教育を継続するパターン(結構多い)などがあると思います。よく、資金調達の際に、国際交流基金や日本大使館/総領事館からなどの日本政府系の資金を模索することが多いようですが、継承語教育に対する日本政府からの支援は非常に複雑で、インフォーマルなネットワークを組織的な日本語教室/学校にするために国際交流基金や日本大使館/総領事館が資金的支援をしたというのは例がありません。 人材 継承日本語教室/学校を運営する上で人材はとても大事です。一番大変なのが、長年同じ教室や学校で勤務する人が少なく、知識やノウハウの蓄積ができないことが挙げられます。 継承日本語教室/学校で大事な人材は二種類あり、おおまかに、学校運営や広報などに長けた事務方の人材、日本語教育などの専門知識のある教師の人材が重要になってきます。「全部自分がやれます。」のようなすごい人も時折いるかと思いますが、自分が知っている中で、有能な事務の方が良い先生であったり、良い先生が組織の運営に長けているということはあまり見たことがありません。 有能な事務の方は、経理や法律などに詳しく、学校の場所の確保や、新しい学生の勧誘などに必要なネットワーク設定、コミュニケーション能力に長けた人です。あくまで自分の個人的意見ですが、事務の人は、継承日本語教育に対して自分の理想やあってそれを実践しようとする人よりも、自分の理想は前に出さず、それよりも、教員、保護者、子女が持つさまざまな継承日本語教育に対する理想や目標をうまく聞き出して理解し、それを調整して実現するような人の方がうまく行っている気がします。組織の運営に関しても、みんなが素晴らしいと思う理想論よりも、つまらないけれども現実的な選択ができる人の方が事務的には優れていると感じます。 先生は、当然ながら、継承日本語教育の経験があり、教育の理想や信念がある人が良いです。これも個人的な意見ですが、継承日本語教育に関しては、先生は経験よりも教育信念が高い人の方が向いていると思います。継承日本語教育は、子どものバックグラウンドや日本語能力もさまざまで、普通の日本語教育よりも過去の経験が反映できるという機会が少ないです。10年以上継承日本語教育を教えているような先生であれば別ですが、過去に数年教員経験があるというような経験はあまり継承日本語教育の現場では経験は関係ないと思います。それよりも、継承日本語教育の現場は、いろんな課題や問題が多いので、理想や信念があり、問題に直面してもへこたれたり、辞めてしまったりしないような先生のほうが現場には向いていると感じます。 事務方の人材、先生ともに、継承日本語教室/学校での最大の課題は継続性が低いことです。殆どの継承日本語教室/学校の関係者の方は、数年で職場を離れてしまうので、教室/学校の運営や教育方法のノウハウなどが引き継がれていないことが多くあります。上手く運営できている教室/学校などは、何名かの事務や先生が非常に長期間にわたり勤務されているところが多いです。 場所 場所は、都市部で教室/学校運営しようと思うと非常に重要な問題になってきます。インフォーマルな集まりであれば、誰かの家でやったりとか、教会や図書館など無料でスペースを貸し出ししてくれるところを見つけ、そこで集まったりすることなどができるのですが、 正式に教室や学校として運営しようとするのであれば、長期間にわたってどの場所で教育を行うのかということが確定しないと、NPOの申請、法律上必要な住所の登録、新しい学生の募集や先生の指導プランなど多くの支障が出てきます。ですので、ある程度お金を払っても、1年間を通じて場所が使えるというところを確保する必要が出てくるのです。 継承日本語教育で場所の確保が難しい理由として、1つは既存の学校設備を持った組織が継承日本語をやるということが少ないと言うことにあります。日本政府による日本人学校で教育設備を持っているというケース以外は、継承日本語の教室/学校を始めるには、週末あるいは放課後にだけ、どこかの他の学校や教育施設で場所を確保しなければなりません。既存の学校にコンタクトし、週末だけあるいは放課後だけスペースを借りるというのが、かなり大変で、かなりのお金を払っても長期間、週末だけキャンパスを貸し出してくれる学校や施設はそれほど多くありません。たまたま見つかっても、場所のレンタルの謝礼がネックになったり、突然、スペースが利用ができなくなったりするということもよくあるので、場所に翻弄されることは多いです。また、正式に教室や学校運営しようとすると、それぞれの地域の法律上、子供の安全や、教育設備等が法律によって決められていることもあり、そのような法律を準拠する設備がないので、結局利用できないということもあります。 最も良い場所は、当然、日系人がたくさん住んでいる居住地の近くがいいのですが、既存の継承日本語教室/学校との距離、電車やハイウェイなど通学手段の距離、謝礼の額など、多くの要素があり、なかなか上手く理想の場所に教室/学校が確保できるということは少ないようです。 カリキュラムと教材 カリキュラムに関しては、いろいろ違ったレベルでの課題があります。 ひとつは、インフォーマルな教室や学校では、教育関係の知識が持つ人がいないことがあるので、カリキュラムというコンセプトが無いと言うこともよくあります。 年間のスケジュールがあったり、いろんな行事やイベントの予定はあったりしても、クラスの中でどのような教育を行うのか、そしてその教育の効果をどのように評価するのかなど、カリキュラムの基本的なことが確立されていない事は、インフォーマルな集まりでは往々にあります。インフォーマルな集まりだと、長期的な計画等ができないという理由はあると思いますが、規模を大きくしたり、長期的に存続しようとするのであれば、カリキュラムは非常に大事になってきます。 カリキュラムのもう一つの問題としては、 日本の学習指導要領による教育と継承日本語のカリキュラムという二種類のカリキュラムがあることが挙げられます。 ...
  • 海外の日本語教育の現状 2021年度日本語教育機関調査 (概要)

    海外の日本語教育の現状 2021年度日本語教育機関調査 (概要)
    国際交流基金 (The Japan Foundation)が3年ごとにやっている全世界での日本語教育機関の調査アンケートの2021年の調査結果の概要が発表されています。コロナ禍の2021年で行われた調査であり、コロナの影響がどのようなものだったのかという事が注目されたアンケートでした。 1. The Japan Foundation (2022). 海外の日本語教育の現状 2021年度日本語教育機関調査より (Survey Report on Japanese-Language ...
  • 「在外教育施設における教育の振興に関する法律」の公布・施行 (2022年6月27日)

    「在外教育施設における教育の振興に関する法律」の公布・施行 (2022年6月27日)
    2022年6月27日に、「在外教育施設における教育の振興に関する法律」が公布・施行されました。これにより、日本人学校、補習授業校、私立在外教育施設の日本政府の方針が大きく変わることになりました。大きな変更点は、これまでは日本人学校と補習授業校の運営に関しては、外務省及び文部科学省が主に所管をしていたのですが、今後は、総務省や経済産業省、国際交流基金、自治体国際化協会 (CLEAR)、日本貿易振興機構 (JETRO)、海外子女教育振興財団 (JOES)なども運営に積極的に参加するようになるそうです。 「在外教育施設における教育の振興に関する法律」の詳しい内容は、以下のページにあります。 2023年2月4日付の週刊NY生活誌にも詳しい変更の解説が書かれていました。 https://nyseikatsu.com/editions/899/899.pdf
  • Coalition of Community-Based Heritage Language Schools (CCBHLS連盟)の継承日本語学校メールリスト

    Coalition of Community-Based Heritage Language Schools (CCBHLS連盟)の継承日本語学校メールリスト
    Coalition of Community-Based Heritage Language Schools (https://www.heritagelanguageschools.org)という全米で継承語を教えている学校や草の根プログラムのネットワーク化を目標にしている団体があるのですが、そこの日本語継承教室グループ (JHS)のメールリストができたということなんで案内しています。 2022年12月現在で、おおよそ50の団体がメールリストに参加しています。ほぼ全ての団体が継承日本語を草の根的に教えている団体で(日本人学校の補習校は、建前上、継承日本語は教えていないので参加してもらっていないそうです)、小さい団体をネットワーク化することでお互いにサポートや情報共有を図るようにしようという趣旨とのことです。 詳細は、以下の案内を参照ください。参加希望の方は、https://groups.google.com/g/jhs-ml/aboutまで。 JHS日本語継承教室グループ (Japanese Heritage Schools group by Coalition of ...