継承日本語話者の日本語と英語のボキャブラリーとモティベーションの相関性

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  • Mori, Y. & Calder, T. M. (2015). The Role of Motivation and Learner Variables in L1 and L2 Vocabulary Development in Japanese Heritage Language Speakers in the United States. Foreign Language Annals, 48(4), 730-754.

上記のMori & Caldar (2013)およびCaldar (2006)と同じデータを使って、渡米年齢以外の要素が補習校に通っている日本人継承語子女の英語と日本語の獲得にどのように影響しているのかを調べたものです。渡米年齢以外の要素としては、”Preference for Japan”, “Japanese Heritage”, “No Choice”, “Career Orientation”, American Identity”, and “Positive Perceptions (toward Japan)”がアンケート調査で調べられ、Partial CorrelationやMultiple Regressionなどの統計技法を使って、渡米年齢の影響を排除した上で、それらの要素がどのように日本語と英語のボキャブラリーに影響しているのかを調べています。

いろいろな考察がされているので、一つだけの紹介になりますが、Multiple Regressionでは、日本語のボキャブラリーに影響を与えているのは、”American Identity”と”Career Orientation” (いずれも負の影響)、英語のボキャブラリーに影響を与えているのは、”Preference for Japan”(負)と”Positive Perceptions”でした。

この論文では、渡米年齢以外にもモティベーション的な要素が日本語、英語の習得には重要だと論じられていましたが、自分の受けた感じでは、逆に、渡米年齢が与える影響の大きさが、その他の要素の大きさに比べて格段に大きいのが目立ちました。R2という要素が与える影響の大きさを統計的に検出する方法があるのですが、日本語のボキャブラリーでは渡米年齢が33%の影響を与えるのに対し、”American Identity”は6%、”Career Orientation”は4%でした。英語のボキャブラリーに関しては、渡米年齢が51%、”Preference for Japan”が5%、”Positive Perception”が3%でした。渡米年齢がいわゆる臨界期 (10-14歳)の子女にはモティベーションは重要かもしれませんが、アメリカで生まれたり高校からアメリカに来たりした人にはあまり影響がないのではないかと思います。

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