2000年初期の大学レベルでの継承語教育に関する定義

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  • Kondo-Brown, K. (2003). Heritage Language Instruction for Post-secondary Students from Immigrant Backgrounds. Heritage Language Journal, 1(1), 1-25.

Heritage Language Journalが始まった際に掲載された論文で、継承語教育全体についてのトピックですが、具体例では継承日本語に関することが語られています。2003年時点では、継承語教育はあまり注目度も高くなかったのですが、2003年時点である研究成果が詳しくまとめられてあり、また、今でも課題とされることも提唱されているので良い論文だなぁと感じました。

論文内で継承語教育に関して提唱されているのは以下のような点です。最後のページに箇条書きでまとめられています。

  • 継承語話者向けのプログラム/クラスの効果についての評価がほとんど行われていない。今後の研究で、継承語学習者向けの言語プログラムの成果やプログラムへのplacementについての評価を行うべきである。
  • 継承語学習者の言語能力がL2学習者とは異なるという一般的な認識はあるが、それに関する実証研究は非常に少ない。継承語学習者の言語能力がL2学習者よりも必ずしも有利ではないという研究もあるので、さらなる研究が必要である。
  • 継承語学習者の言語能力を測定するのにL2学習者向けの能力試験(e.g., ACTFL OPI)を使用するは適切かどうか。
  • 継承語学習者プログラムで必要なのは、学術的で高レベルなレジスターの言語習得であると考えられている。レジスターに関する教育の効果と学習成果の変動が統合的動機付けと関連しているか研究する必要がある。
  • 継承語学習者プログラムでは、継承語学習者の語彙の範囲を広げることも有用な目標であるとされている。語彙が効果的に習得される方法についての意見は分かれており、さらなる研究が必要。
  • 継承語学習者の能力レベルは、言語態度やアイデンティティ形成など、さまざまな社会心理的要因と関連しているとされる。それらも考慮した新たな能力試験の開発が必要。
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