継承語の定義の難しさ

  • Wiley, T. G. (2001). On defining heritage languages and their speakers. In J. K. Peyton, D. A. Ranard, & S. McGinnis (Eds.), Heritage Languages in America: Preserving a National Resource. (pp. 29-26). Washington, D.C.: Center for Applied Linguistics.
  • Wiley, T. G. (2014). The Problem of Defining Heritage and Community Languages and Their Speakers. (2). In T. G. Wiley, J. K. Peyton, D. Christian, S. C. Moore, & N. Liu (Eds.), Handbook of Heritage, Community, and Native American Languages in the United States: Research, Policy, and Educational Practice. (pp. 19-26). New York, NY: Routledge.

継承語の定義を紹介する前に、アメリカでの外国語教育の重鎮のTerace Wileyが書いていた継承語の定義についての論文を紹介したいと思います。Wileyは継承語の定義について2001年と2014年の二回にわたって書いているのですが、2001年の論文では基本的にはValdésなどを取り上げてどちらかというと継承語研究の導入的な内容でかかれていたのですが、2014年の論文では「誰が継承語話者なのか」と定義する事の難しさについて書かれています。これは、継承語研究が進むにつれて、言葉の技術と継承語話者の関係についても多く知られるようになりのギャップについてもわかってきたからです。

今では、一般的に誰が継承語話者であるべきかというのは定義するのは難しく、定義する目的や環境を鑑みて、継承語話者を定義しなければならないとされています。例えば、日本語の継承語話者ですと、いわゆる永住組というのと帰国組の子女というものが存在し、日本語を継承語としてみるかどうかの定義は子供達の将来の予定が深く関わってきます。一般的には、永住組の日本語は継承語、帰国組にとっては日本語は継承語ではなく母国語だとされますが、例えば、両親の仕事の関係でアメリカに4-5年だけ滞在していた子女でも、たまたま幼少期にアメリカに渡米しアメリカの学校に行っていたら、帰国時には、おそらく日本語よりも英語の方が上手に話せるようになっていたりします。例え帰国組の子女でも、どちらの言葉が簡単に話せるかや、アイデンティティーの面などを考えると日本語が継承語となる可能性もあるので、それらの面をよく考慮して「日本語継承語話者」を定義しないといけません。

0 0 vote
この記事の評価 (登録なしで評価できます)
Subscribe
Notify of
guest
0 Comments
Inline Feedbacks
View all comments