- De Cat, C., Kašćelan, D., Prévost, P., Serratrice, L., Tuller, L., & Unsworth, S. (2022). Quantifying Bilingual EXperience (Q-BEx): questionnaire manual and documentation. {Q-BEx}.
- De Cat, C., Kašćelan, D., Prévost, P., Serratrice, L., Tuller, L., & Unsworth, S. (2023). How to quantify bilingual experience? Findings from a Delphi consensus survey. Bilingualism: Language and Cognition, 26(1), 112-124.
- De Cat, C., Gusnanto, A., Kašćelan, D., Prevost, P., Serratrice, L., Tuller, L., & Unsworth, S. (2025). How detailed do measures of bilingual language experience need to be? A cost-benefit analysis using the Q-BEx questionnaire. Bilingualism: Language and Cognition, 1-12.
継承語学習者向けのアンケート研究は多く行われていますが、それぞれの研究のために独自のアンケートが作成されるため、その結果が、他の研究と比較しにくいという問題がありました。ここ10年くらいで、いくつかの研究グループが、そのような状況を打開するために、継承語研究のアンケートのテンプレートのようなものを作成しようという動きがあります。その中でも、Q-Bex (Quantifying Bilingual EXperience)は、継承語話者に特化していること(他の研究はバイリンガル話者のアンケートの一部として継承語アンケートが存在する)、全体のアンケートも簡潔にまとめられていて、必要があれば一部のモジュールだけでも利用できる、また、アンケートを行うプラットフォーム(ウェブサイト)が無償で提供されているということで、他のアンケートテンプレートよりも使いやすいかと思います。
Q-BExは、イギリスのUniversity of Leedsで行われたワークショップ内で考えられたアンケートの質問リストを、132名の継承語研究者、スピーチセラピスト、言語教員の間で議論してもらい、75%以上の同意があったものだけをまとめたもので、最終的には、98個の質問が、7つのmodulesに分けられています。7つのmodulesは以下の通りです。
- Language exposure and use
- Language difficulties
- Proficiency
- Education and literacy
- Input quality
- Language mixing practices
- Attitudes (toward language and language mixing)
議論の中で75%以上の同意が得られなかった分野として、language development (language impairmentなどはアンケートではなく専門家が診断するということだと思います), language use during holidays (学校がない時の言語利用などは他の質問と被るのでいらない)などがあり、また質問としては残ったけれども議論となったのは、language proficiency (アンケートでは言語能力の診断はできるだけしない), immigration history (移民に関する情報), language mix (複数の言語を同じ環境で同時に使うこと)に関する質問だったとのことです。
Q-BExは、ウェブサイト (https://www.q-bex.org)で登録すると、無料で利用できるそうです。また、98個の質問リストもこのリンク (https://www.q-bex.org/wp-content/uploads/2024/10/List-of-Questions-Text-English.docx)で公開されています(質問リストは、なぜか93個になっています。多分、リサーチが出版されてからさらに5つくらいの質問がが削除されたのだと思います)。