継承日本語話者の子女を育てていると、自分の子供の日本語能力が、日本語を母語として獲得している子供たちと比べてどの程度の発達レベルなのかと気になることがあります。日本に頻繁に一時帰国している場合などは、他の家庭の子女との交流などから、自分の子供の継承日本語のレベルなどがわかるのかもしれませんが、そんなに頻繁に一時帰国できるものでもないですし、なかなか自分の子供の日本語のレベルが、日本語母語話者と比べてどの程度の遅れがあるのかはわかりづかいものです。
で、そういった際に使いやすいのが、CHILDESという言語習得研究者用のデーターベースです。もともとは、Carnegie Mellon UniversityのBrian MacWhinney氏が、自分の子供の言語発達を1970年代に音声録音したものを書き起こし(テキスト化)し、研究用に公開したのが始まりなのですが、そこから世界中の研究者が同様なデータベースを共有し始めて、英語だけでなく、いろいろな言語を母語とする子供たちの言語発達データベースになりました。
第一言語習得の研究者の中では必須のデータベースですが、一般に無料で公開されています。日本語では、愛知淑徳大学の宮田Susanne先生が率先して日本語のCHILDESデータベースを構築されています (ワークショップの資料などがこのページで公開されています)。
その宮田Susanne先生が編纂したCHILDESデータベースで、MiiPro Corpusというものがあります。1歳から5歳の、日本語を母語とする子供の音声記録をオンラインで聞くことができます。
- Go to https://childes.talkbank.org/access/Japanese/MiiPro.html
- Click on “Browsable transcripts”
- Click on child’s name
言語形態学的な情報などがあり、ちょっとスクリプトは見にくいですが、音声を聞くだけでも、「ああ、日本の母語話者は、この年でこの程度の日本語を話すんだ」というイメージが掴めると思います。よく話す子、あまり話さない子などの違いはありますが、言語学的な視点から見ると、日本語の母語発達も年齢と非常に比例して規則的に発達しています。