- Rumbaut, R. G. (2009). A Language Graveyard? The Evolution of Language Competencies, Preferences and Use Among Young Adult Children of Immigrants. In T. G. Wiley, J. S. Lee, & R. Rumberger (Eds.), The Education of Language Minority Immigrants in the United States. (pp. 35-71). Bristol, UK: Multilingual Matters.
- Rumbaut, R. G., Massey, D. S., & Bean, F. D. (2005). Linguistic Life Expectancies: Immigrant language retention in Southern California. Population and Development Review, 32(3), 447-460.
カリフォルニア州南部とフロリダ南部の地域で行われたImmigration and Intergenerational Mobility in Metropolitan Los Angeles (IIMMLA)とChildren of Immigrants Longitudinal Study (CILS)に関する報告です。
IIMMLAでは、約5,000人の移民(一世から四世以降まで)の言語使用に関して調査し、それによると一世から二世までにかけては家庭で継承語を使う頻度は多いものの (1世: 97.4%, 2世: 83.5%)、言語能力では1世と1.5世 (12歳までにアメリカに来た子女)の間で大きな広がりがある事が報告されました (1世: 97.4%が高度な継承語能力を保有、1.5世: 46.6%, 2世: 34.2%)。この報告で、継承日本語に関係があると思ったのは、家庭で継承語を話しているから継承語の保持は大丈夫だろうと思っていたら、現地校に通い始めたらアットいう間に英語が主要言語になってしまったという話がよく表れていると思います。
CILSは、5,262名の移民子女を14-15歳 (1992年), 17-18歳 (1995年)、20歳代 (2001-20013年)に渡って長期調査したものです。通常、アンケート調査ではcross-sectional (ある時点で違う年齢や言語などのグループに区分して比べる手法)が使われる事がほとんどですが、このような長期的に渡って同じ対象者に対して何度かアンケートを行う(longitudinalという手法)というのは非常に珍しい研究です。結果としては、上記の研究とほとんど同様な報告がされたのですが、特にこの研究で強調されたのがスペイン語とアジア系言語の継承語能力の差です。20歳代の時点で、スペイン語話者は、78.3%が継承語をよく理解できると回答したのですが、アジア系言語ではその割合が40.3%となっていました。他の研究でも同様な報告がされていますが、日本語を継承語として話す家庭には厳しい現実だと感じます。