日本の小学校への夏の体験入学 2025年

幸運なことに、今年も夏に日本に一時帰国して、三年連続で子供の体験入学ができました。上の子は小学4年生から6年生まで、下の子は1年生から3年生まで、日本の学校で7月だけ体験入学をしました。すでに、手続き等については過去二年の体験談で書いているので、今回はこれまで書いていない事を箇条書きで追記しています。 複数年の体験入学 3年連続で同時期(7月)に同じ学校に体験入学をしたので、かなり多くの友達もでき、中には来てくれるのを楽しみにしてくれていた子供もいたそうです。隣の席に誰が座るだとか、誰がいろんな事を教えてあげるだとかいうことまで事前に相談してくれていたそうで、子供達はとても嬉しそうでした。今回の体験入学が終わった時点で、来年も待ってますというようなメッセージをいただいたので、予算的にも4年連続は大変だなぁと思いながらも、歓迎ムードだったのは嬉しかったです。 猛暑 今年の日本は例年よりもさらに暑かったとのことで、華氏100度近くになることも多くありました。それくらい暑いと、基本的に屋外での活動はキャンセルが基本で、子供が通う学校では屋外活動はほぼ何も行われませんでした。幸い体育などは全てプールだったのでできていたようですが、昼休みや放課後は全部屋内活動だったとのことです。週末も、せっかくの日本なのでいろいろなところに行きたかったのですが、屋外でのイベントには参加しづらいので屋内でのイベント(水族館、ショッピング、ゲームセンターなど)を中心に参加しました。唯一、屋外だったのは大阪万博で、幸いたまたま温度が低めの日だったので良かったですが、100度近くの状況だと動けなかったんじゃないかなと思いました。 携帯電話 日本でも子供の携帯電話保有率は上がっているようで、小学3年生で半分くらいの子供が、小学6年生だと、ほぼ全員が携帯電話を所有しているとのことでした。日本は、子供が小学生が一人で登校したり、放課後に遊んだりするので、その点を考えると携帯電話の必要性はニューヨークよりも高いのかもしれません。2024年では、携帯電話ではないGPSのキーホルダーとかが多くあったように思うのですが、今回の訪問では、GPSキーホルダーなどではなく、携帯電話を保有するというオプションが主流になっていたと感じました。ニューヨークでも同じですが、学校での携帯電話の使用については国や都道府県レベルで統一した規制はないようで、個々の学校区でのガイドラインにそって利用しているようです。自分の子供が行った学校では、学校内では携帯電話は非常時以外は使わないという誓約書に保護者と子供が署名をするような感じでした。 中学生の体験入学 教育委員会の方と、上の子が中学校に上がる来年の体験入学の相談をしました。教育委員会としては、中学校での体験入学も前例があるので、受け入れ学校の調整ができるのであれば問題ないとのこと。他方で、時期的には6月末から7月初めは、期末試験がある時期なので、小学校と違い、通常の授業などは行われていないのではないかとのことでした。ちょっと調べてみたのですが、7月は三者面談や学校行事の準備などが行われるようで、体験入学して馴染める雰囲気なのかどうかはわからなかったです。また、中学生になると、子供自身もいろいろ自分でやりたいことなどが増えるので、子供が(自分のやりたい事よりも)体験入学をしたいかどうかという話も出てくると思います。 「日本語教育推進法」の影響 「日本語教育推進法」が制定され、継承日本語話者を含む外国人等への日本語教育は国の責務であると規定されました。現在、2020年から2025年の実際の施策が書かれた「日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」が、現在改訂されていますがhttps://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185001431&Mode=0)、実際に同法が継承語話者の夏の体験入学にどのような影響があったのかは不明です。「日本語教育推進法」は、もともと、日本に在住する外国人等への日本語教育を国の責任とする(日本に移民した子女への日本語教育)のが主な要点だったものに、海外で日本国籍を持つ子女への日本語教育がついてきたような法律ですので、海外での日本人学校や日本人補習校にどのような影響があるのかは詳しくは議論されていませんでした。海外で生まれ育った日本国籍を持つ継承日本語子女が、夏に一時体験入学をするような特別な状況については全く触れられていません。法律では、日本国籍を持つ継承日本語子女に対する日本語による教育は国の責任であると明記されているのですが、それは夏の体験入学には影響は無かったのではないかと思います。「日本語教育推進法」前は、日本国籍を持つ継承日本語子女が体験入学を希望しても、日本語能力が十分でない場合は、体験入学を渋られたりするケースもあったとのことですが、そういうケースは同法施行後はなくなったのかもしれません。 郷に行っては郷に従え 2025年の夏はちょうど参議院選挙の時期で、その論点の一つとして、日本にいる外国人移民が上がっていました。毎年、日本を訪問するたびに、外国人労働者は確実に増えていると実感するのですが、今回は特にコンビニやレストランなどのサービス業では、非日本人労働者が増えたなと思います。建設系の仕事をしている知人に聞いたら、建築系も非日本人労働者が多いとのことでした。今回の選挙では、そのような状況に異議を唱えた参議院候補者の人たちが躍進したとのことで、今後も、日本の移民については議論が続くのではないかと思います。そこで、何点か思ったことですが、日本での移民に賛成の人も意義を唱える人も、どちらも「日本に来たのだから日本の文化やルールを守る必要がある」という点では同意があるような感じがしました。日本に来て仕事をする決意をしたからには、日本語を学び、日本の文化に精通し、日本の社会のルールに準拠した生活を送るという点では、日本の移民政策の合意があるような気がしました。外国人労働者が長く日本に滞在すれば、結婚もするし、子供も生まれます。そうすると、継承日本語話者の保護者が、「自分の子供にはルーツである日本語を保持してほしい」と思うのと同様に、外国人労働者のルーツである言葉や文化を保持したいという希望はあると思います。自分で日本に来る決意をした移民一世については、「日本人のように生きる」というのは合理性があるのかもしれませんが、その子供達である移民二世に関しては、日本で生まれ育ったにも関わらず、日本人としては受け入れてもらえず、また、自分の両親からは、ルーツを持ち続けてほしいという期待をされ、大変ではないかと思いました。日本に移民として労働者を受け入れ始めて10年以上が経ち、移民二世が徐々に現れ始めて、今後も増えていくことが考えられます。その人たちの継承言語や継承文化については日本でも新しい議論があってもいいかなと思いました。