今回は、5〜6歳のときに継承日本語教育のためにやっていたことの記録です。コロナ禍の始まりの頃なので特別な状況ではありましたが、コロナ禍以外でも当てはまるような点をまとめます。
- 現地校のkindergartenの開始
誕生日にもよるのですが、5〜6歳で現地校を選択する家庭は、現地校のkindergartenへの入学が始まります。Early childhood centerなどが単独で運営していることが多いUPKと異なり、kindergartenは現地校のelementary schoolと一緒になっていることがほとんどですので、入学手続きもかなり煩雑になります。通常はkindergartenに入った学校に6年近く通うことになるため、学校選びは非常に大変です。ニューヨークのpublic schoolsは公立学校で、建前上は予算や先生の配置などは公平になっているべきなのですが、いわゆる「よい学校」と「大変な学校」の間には大きな差があります。当然ながらそういった学校の評価などを広く公表しているところは多くないので、いろいろリサーチをしたり、ネットワークを広げて口コミで情報を入手する必要があります。一般的に、学校探しでよく使われるウェブサイトなどは以下のようなものがあります。
- Inside Schools: 昔からあるウェブサイトで、一般に公開されている学校の評価情報や、学校情報を書き込みできる掲示板があります。いわゆる「よい学校」には、”Staff Pick”などのアイコンがついています。
- Niche: 不動産屋さんなどがよく使う学校評価ウェブサイトです。小学校だけでなく、中学、高校、大学などの評価も載っています。
- Great! Schools: 割と最近できた学校のデータベースサイトです。こちらも、Inside Schoolsと同様に、一般に公開されている学校に関する情報を見やすく提示しています。
- NYC DOE School Quality Reports: NYC DOEが教員と保護者向けに毎年行っているアンケートの結果や、State Testsの結果を見られるウェブサイトです。膨大な情報があり、また、データの多くが主観的な自己評価に基づいているので、なかなかここだけを見て学校の評価をするのは難しいです。ここにある情報は一般に公開されていて、上記のInside Schoolsなどのウェブサイトで見やすく紹介されています。
他にも、ちょっと古いですが、”New York City’s Best Public Elementary Schools: A Parent’s Guide”という本が出版されています。もう10年近く改定されていないのですが、著者の方が上記のInside Schoolsなどを運営していて、時折、学校入学を考えている人のためのウェビナーなどを開催しています。詳しくは、https://clarahemphillblog.wordpress.comを参照してください。
上の子どもの小学校選びで一番迷ったのは、当時始まったばかりの日本語のDual Language Program (PS147)に行くかどうかでした。小学校の選択には、自分の居住地にある学校以外にも、dual language programのようにmagnet schoolと言われる特別なプログラムがあり、magnet schoolsには居住地に関係なく応募できます。PS147がブルックリンにあり、ここに通うには引越しする必要があったこと、また土曜日の補習校でよいプログラムが見つかったこともあり、結局、dual language programでの日本語はやめて、現地校+土曜日学校のオプションにしました。
- 週末の継承語学校
誕生日にもよりますが、現地校の入学と同じくらいに週末の継承語学校に行くのか、どこに行くのかなどを決める必要が出てきます。日本語では、多くの継承語学校が幼稚園などの幼児教育に特化しているので、そこから小学校レベルの継承語学校を探すことになるのですが、そうなるとオプションがぐっと狭まり、ニューヨークでは4〜5校くらいしか選択肢がありません。一つ目は日本の政府が運営する日本人学校と同じ運営者による「日本補習校」、二つ目は育英学園やリセケネディーなどの私立の学校が行っている週末日本語学校、そして規模は小さいですが週末の継承日本語教育だけを行っているプログラムです。幼児教育では、日本語の保持と英語の習得が同時期に可能なのですが、小学校(特に小学校高学年)になると全てを維持するのは難しくなるので、自分の子どもの目標を何にするのかを考える必要があります。日本補習校は、おそらく小学校2〜3年くらいまでは努力すれば継続していけると思うのですが、それ以降は、特別に日本語を保持する努力ができる環境にないと継続できないことが多いです。「特別に日本語を保持する努力」は、とくに大変なことをするというわけではなく、例えば、うちでは日本語を使うというhome language policyを確立するとか、補習校の宿題をやるスケジュールを確立するとか、夏の間に日本の小学校に体験入学をするとか、週末に拘束されそうな活動(サッカーとか、チェスとか、ダンスとか)は控える、など単純なことです。単純ですが実際に実行するのは大変で、例えば、うちで「日本語だけを使う」というhome language policyを定めた場合でも、子どもが英語のテレビ番組を見るようになったり、家に英語話者がいるとつい英語で話してしまったりして、home language policyが守られないことがよくあります。「特別に日本語を保持する努力」が難しい場合、多くの子女が「日本語補習校についていけなかった」という理由で日本語の保持をやめてしまい、最終的に日本語は苦手でやりたくない、という状態になることが多いです。
育英学園やリセケネディーなどの私立の学校が行っている週末日本語学校は、日本の文科省の学習指導要領に沿って授業をする必要がないので、授業は教科書を使いながら文科省の学習指導要領を「目標」として日本語を学習することになります。日本補習校と比べると、いわゆる「永住組」が多いので、実際の授業内でも永住組のニーズに合った指導が取り入れられることが多いと思います。クラスの構成(駐在と永住者の子女の割合)が適切で、先生の指導方法がうまければ、よいオプションだと思います。「日本語補習校」では永住組の子女の数が多くても、文科省の学習指導要領を評価方法として使うことが義務付けられているため、多くの子女が脱落していきます。一方、私立の学校ですと、個々のクラスの状況に応じた適切な目標を設定できるという利点があります。
最近では規模は小さいですが、日本の教科書を使わず、文科省の学習指導要領とは全く異なった継承日本語教育をする学校もできてきました。文科省の学習指導要領に沿わないということは、個々のプログラムでさまざまな目標が設定されるということなので、選択肢は大きく広がります。例えば、漢字は読めなくても日本語の会話をアクセントなしでできるようになりたいとか、日本語は上手にできなくても日本にルーツのある友だちとつながりたいとか、それぞれの目標に合ったプログラムを選ぶことができます。小学校入学の時点で「特別に日本語を保持する努力」はしない、できないという環境にある場合(例えば、絶対にダンスの練習をしたいとか、家庭状況によって日本語や英語以外の言語を保持する必要があるとか)、最初から継承日本語教育のプログラムを選ぶのも良いかと思います。
- 夏の日本の小学校への一時入学
ここで詳しく書きましたが、夏の日本の小学校への一時入学をするのであれば、小学1年生から始めるのが友達もできやすく、良いタイミングかと思います。もし1年生の夏に一時入学をするのであれば、1〜2月くらいから準備をする必要があります。

