継承日本語の研究

継承語に関する研究について紹介しています。日本語に特化した研究以外にも、他の言語の研究なども紹介し、総合的に継承語の維持について考えています。他にも、継承語の研究に関する入門書なども紹介しています。

  • 子供をバイリンガルに育てるメリットとデメリット

    子供をバイリンガルに育てるメリットとデメリット
    前学期に教えていたクラスで、アメリカで子供をバイリンガルに育てるメリットとデメリットをまとめるプロジェクトをしたので、それのまとめを日本語で書いておこうと思いました。バイリンガルのメリットとデメリットについて、科学的に実証されている、あるいは客観的に記載されている事実についてをまとめようというプロジェクトでしたが、研究で確立している事象だけを考えると、バイリンガルのメリットは非言語的な認知力についてのものが多く、デメリットは言語的なものが多かったのがおもしろかったです。 バイリンガルのメリット 言語に関するメタ知識(言語をコミュニケーションのシステムとして認知する知識)が高く、言語に対する反応がモノリンガルと異なる。例えば、”Which is more like CAP? CAN or HAT?”という質問があると、モノリンガルの英語話者は、音声的に近いCANを選ぶことが多いが、バイリンガル話者は、HATも意味的に近いと答える。 クリエイティビティーが高い。例えば、”Tell me all the things you could do ...
  • 新時代海外移住者の日本語継承

    新時代海外移住者の日本語継承
    カルダー, 淑子. (2019). 新時代海外移住者の日本語継承: 日本語教育推進法案に対する署名運動から. In 喬. 宮島 et al. (Eds.), 開かれた移民社会へ. ...
  • 日本語の国語教育(学習指導要領)と継承語教育への子女と保護者の反応

    日本語の国語教育(学習指導要領)と継承語教育への子女と保護者の反応
    Doerr, N. M. & Lee, K. (2009). Contesting heritage: language, legitimacy, and schooling at a ...
  • オレンジコースト学園の継承語カリキュラムへの移行過程

    オレンジコースト学園の継承語カリキュラムへの移行過程
    Uriu, R. M. & Douglas, M. O. (2017). Crisis, Change, and Institutionalization: Adopting a New ...
  • NYこどもサポート (早期介入プログラム/Early Intervention Programの解説ウェブサイト)

    NYこどもサポート (早期介入プログラム/Early Intervention Programの解説ウェブサイト)
    アメリカ連邦政府のサービスで、発達障害のある子女に対するサービス(様々なセラピーやカウンセリング、費用支援など)を行う早期介入プログラム/Early Intervention Programの解説ウェブサイトです。サービスの内容、日本語での相談の可否、費用に関する情報などが充実しています。また、プレイデートなどの定期的な集まりも行なっているそうです。 NYこどもサポート (早期介入プログラム/Early Intervention Programの解説ウェブサイト)
  • コドモ便利帳特別編集 ニューヨーク近郊のサマーキャンプ編 Vol.2

    コドモ便利帳特別編集 ニューヨーク近郊のサマーキャンプ編 Vol.2
    タイトル: コドモ便利帳特別編集 ニューヨーク近郊のサマーキャンプ編 Vol.2 作者: Y’s Publishing 出版社: Y’s Publishing Co., Inc. 出版年: 2009 料金: $15 URL: http://www.us-benricho.com/yshome.html 何度か紹介したコドモ便利帳を出版しているY’s Publishingさんが発行しているサマーキャンプの体験談特集です。 2009年発行で少し情報が古く、いくつかのプログラムは既に廃止になっているなどの問題がありますが、それぞれのサマーキャンプでどのように子供が成長したかというのが、ここの体験談から知ることができます。 なかなか日本語環境でのサマーキャンプの情報をまとめている場所がないので、とてもよい冊子ですが、少し分かりづらいなぁと感じたのは、それぞれの子供の置かれている状況が全然違い、例えば、日本から駐在子女としてニューヨークに在住して、キャンプで英語学習をしている子供たちの体験談なども含まれています。それはそれで重要なのですが、やはり保護者としては、同じような環境にある子供たちの体験談だけを読みたいのですが、構成的に子供たちの言語環境では体験談が分類されていないので、全部読んでから、「ああ、これは自分の環境とは違うな」という判断をする必要があります。 前述のように、日本語でのサマーキャンプの情報は収集しづらく、この本は上記のような問題があっても非常に人気は高いようです。これだけ古い本にも関わらず、ニューヨークの紀伊国屋さんに夏前にいくと10冊くらいの在庫があり、夏の後にはなくなっているという感じです。
  • ママのためのコドモ便利帳Vol.5

    ママのためのコドモ便利帳Vol.5
    タイトル: パパ・ママのための子ども便利帳 Vol.5 作者: Y’s Publishing 出版社: Y’s Publishing Co., Inc. 出版年: 2018 料金: $25 URL: http://www.us-benricho.com/kodomo.html ニューヨーク便利帳と同じ出版社からでている、育児、教育に特化した出版物の2018年の改訂版です。生まれる前から5歳くらいまでの必要なプロセスが載っています。2014年発行の以前のものも持っていたので、必要ないかなぁと思っていたのですが、タイトルが静かに「ママのための子ども便利帳」から「パパ・ママのための子ども便利帳」に変更になっていたので購入してしまいました。 ニューヨークで育児をするのであれば、基本的に購入しておかないといけない本の一つだと感じます。子育てに関する医療、教育、文化などについて非常に詳しく、正確な情報が書かれています。編集者の方に脱帽です。 購入方法は、図書とオンラインがあるのですが、どちらも日本のAmazon経由ですので、日本のアマゾンのアカウントがないとデジタル版は購入できません。どちらかというと、通常の書籍の方が購入しやすいようです(紀伊国屋さんなどで、ちょっと割高ですが購入できるようです)。
  • ニューヨークの日本語話者 (2015年時点)の地図での表示

    ニューヨークの日本語話者 (2015年時点)の地図での表示
    このブログポストでまとめた2015年のAmerican Community Surveyのデーターでニューヨーク市内で日本語を家庭言語として使う人の数を、地図にまとめてみました。PDFのものはここでダウンロードできます。
  • ニューヨークのクイーンズ区での日本語教育の需要

    ニューヨークのクイーンズ区での日本語教育の需要
    クイーンズのForest Hillsで日本語プレイグループを行なっている「Queens児ぱんぐ?」(https://queensjipang.wixsite.com/queensjipang)というところが、2019年の2-3月にかけてオンラインでのクイーンズ近郊での日本語教育需要調査(https://www.surveymonkey.com/r/V3JQHJX)を行いました。以前から、クイーンズは日本人家庭が多い割には日本語による教育機関が少ないと感じていたのですが、調査の結果を見ると、やはり需要度は高いようです。 回答数は134件で、いただいたデータを見た感じでの主な概要は以下の通りです。 回答者の住居は、Forest Hills or Rego Park (41%), Sunnyside or Woodside (15%), Astoria (13%), Long Island ...
  • 北米の日系アメリカ人の歴史

    北米の日系アメリカ人の歴史
    北米の日系アメリカ人の歴史についてのとても面白い本とウェブサイトを見つけたので、その紹介です。 継承日本語話者は、いわゆる1.5世か2世の日系アメリカ人になるのですが、最近、継承語話者の人と話していて感じたのは、言語や文化に関しては知識がある継承語話者の人でも、歴史のことを聞くと、ある程度の日本の歴史と、西欧主観的なアメリカの歴史の知識があるものの、どちらも自分の歴史ではないという思いがある人が多いと感じました。いわゆる日系アメリカ人の歴史というのは、アメリカの学校ではあまり触れられず、また、1世である継承後話者の保護者の間でも知られていないので、継承日本語話者に伝承されていかないのだと思います。 日本人はアジアの中でも比較的早くからアメリカに移住を始めた民族の一つです。1860年代にアメリカ西部と東部をつなぐTranscontinental Railroadの労働者として移住を始めた中国人とともに、日本人も国内の景気の悪化のため、アメリカでの経済的成功を求めて労働者として移住を始めました。ですので、おおよそ日系アメリカ人はアメリカでは160年の歴史があるわけで、一番最初に訪問した日系移民の子女は今では4世や5世、あるいはそれ以上の世代を経ているわけですが、常に日系移民が続いていたわけでなく、北米の日系アメリカ人の歴史では大きく二つの分断期がありました。一つは、19世紀末からアメリカでのアジア人差別「黄禍論」が広まった際に、日本政府とアメリカ政府の間で結ばれた日米紳士協定(1907)による日本政府の自主的アメリカ移民制限、もう一つは、第二次世界大戦の日米開戦(1941)です。 今回紹介しようと思ったのは、その分断期について書かれた資料で、一つは、Daniel Inouye氏による以下の本で、日本の最初の移民から、第二次世界大戦の日米開戦(1941)まで(いわゆる最初の分断期)について書かれています。 Inouye, Daniel H. (2018). Distant Islands: The Japanese American Community in New ...