日本語を継承語として話す中高生が受けられる日本語能力試験

日本語を継承語として話す子女が中高生くらいになると、自分の日本語がどの程度できるのかを証明したいという人も出てきます。漢字検定( http://www.kanken.or.jp/kanken/)や日本語検定(https://www.nihongokentei.jp/)など、日本語を母語とする人を対象とした試験が受けられるといいのですが、おそらく日本語を継承語として話す子女には、漢検や日本語検定は難しすぎるかと思います。また、日本語能力試験を受けたいという人たちのもう一つの理由として、高校での外国語科目の免除 (AAPPLやACTFL OPI/OPIcなど)や、大学への進学の際に有利かもしれない(APやSAT Subject Testなど)という思惑もあるので、日本では認知度が高い試験でも、アメリカでの日本語能力を証明したいという人たちには会っていないことも多いです。

実際に、日本語を継承語として話す子女がどのような日本語能力テストを受けているのか以下にまとめてみました。

  1. Japanese Computerized Adaptive Test (J-CAT) / J-CAT 日本語テスト
    • https://j-cat.jalesa.org
    • J-CAT 日本語テストは、日本語学習者を対象とした日本語能力の判定をインターネット上で、時間・場所の制約なしに実施できるアダプティブテスト(適応型テスト)です。
  2. Scholastic Aptitude Test (SAT) Subject Test in Japanese with Listening / 大学進学適性試験科目テスト (日本語)
    • https://collegereadiness.collegeboard.org
    • The College Boardが主催するSATの科目テストの中に日本語のテスト存在します。2021年の1月19日に、The College Boardは全てのSubject Testsを廃止する方針を打ち出していますので、おそらく日本語のテストも数年のうちに実施されなくなるのではないかと思われます。
  3. Japanese Advanced Placement (AP) Exam / 日本語AP試験
    • https://professionals.collegeboard.com/testing/ap
    • “AP試験 (Advanced Placement Exam) は、College Boardが主催する試験で、日本語などの高校の各科目において大学レベルの学力があるかどうかを診断するテストです。通常は、AP専用のクラスを高校で受講しないとAP Examは受けられません。多くの大学でAP Score 3以上ですと、APが大学の単位になったり、入学の際に有利になったりします。”
  4. Tsukuba Test – Battery of Japanese (TTBJ) / 筑波日本語テスト
    • https://ttbj.cegloc.tsukuba.ac.jp
    • SPOT (Simple Performance- Oriented Test)と呼ばれる手法を使った無料で受験できるオンラインでの日本語テストです。ここ数年は開発や研究がないようですが、無料で使えることと、オンラインで行えるということで、日本国内、海外のいくつかの教育組織で使われているようです。
  5. Japanese Language Proficiency Test (JLPT) / 日本語能力試験
    • https://www.aatj.org/jlpt-us
    • JLPTは国際交流基金が主催する日本語能力テストで、おそらく海外の日本語学習者の中では最も認知度が高い試験です。年に一回だけ、毎年12月の最初の日曜日に実施されています。また、実施会場がそれほど多くないので(全米でも20会場程度)、JLPTを受験しに他の週に移動するという人も時折見かけます。料金は$60くらいで、アメリカでの試験運営はAmerican Association of Teachers of Japanese (AATJ)が行っています。
  6. The Seal of Biliteracy / バイリテラシー証印
    • https://sealofbiliteracy.org | http://www.nysed.gov/world-languages/new-york-state-seal-biliteracy-nyssb
    • アメリカの高校の卒業証書に、バイリンガルの人のみがもらえる追加証明を付け加えようという試みで、ニューヨーク州を含む多くの州で採用されています。どうやったら”The Seal of Biliteracy”がもらえるかは州ごとに異なるのですが、ほぼ全部の州で、APやOPIなど他の言語テストの結果によって”The Seal of Biliteracy”の可否を決定するというところが多いようです。
  7. International Baccalaureate
    • http://www.follettibstore.com/main/dp | https://www.ibo.org/en/
    • International Baccalaureateは、全世界の高校で統一されたカリキュラムを作成し、海外の大学や大学院への進学などが円滑に行われるようにしようという目的で作成されました。日本の高校なども含む多くの高校で採用されていて、その中に日本語の能力を図る科目とテストがあります。基本的には、IBを採用している高校(通常はかなり国際性の高いインターナショナルスクールなどの学校)に在籍している必要があります。
  8. Avant STAMP 4S
    • https://avantassessment.com/stamp
    • アメリカの言語テストの会社のAvantというところが作成しているテストの一つで、日本語でのテストも受けることができます。Reading, Writing, Listening and Speakingの四技能が測定され、内容的にはgrades 7-16向けに作成されているcomputer-adaptive testです。
  9. National Japanese Exam (NJE)
    • https://www.aatj.org/national-japanese-exam
    • NJEは、第2言語として日本語を学習している生徒・学生のために開発された、プロフィシェンシー重視、スタンダーズベースのテストで、また文化能力を評価するテストです。NJEは日本語学習の成果を讃え、また日本語学習に対してさらに学習意欲を高めることを目的としています。
  10. AAAPL
    • http://aappl.actfl.org/ | https://www.languagetesting.com/aappl
    • アメリカの外国語教員の学会団体であるACTFLというところが作成した主にK-12向けのコンピューター形式のSpeakingとWritingのテストです。ACTFLの他のテスト (OPI/OPIc/WPT)と同様に、ACTFLのWorld-Readiness Standards for Learning Languagesという全世界で認知されている言語能力基準での言語測定ができるようになっています。
  11. ACTFL OPI/OPIc (Japanese)
    • https://www.languagetesting.com/oral-proficiency-interview-opi | https://www.actfl.org/resources/actfl-proficiency-guidelines-2012/japanese/スピーキング
    • アメリカの外国語教員の学会団体であるACTFLというところが作成したspeakingのインタビュー形式のテストです。ACTFLは、他にもWPT (Writing)などのテストも作成しているのですが、OPIがもっとも早く作成し非常に幅広く広まっているので、OPIのみの認知度が高くなっています。日本語だけでなく、おおよそ60言語で行われており、全ての言語で同一に判断基準 (ACTFL Standards)が使用されています。OPIは対人でのインタビュー、OPIcはコンピューターでの自動質問によるインタビューです。
  12. ACTFL WPT (Japanese)

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