複数言語を話す家庭での家庭言語政策について (OPOL: One-parent-one-language policy)

  • Danjo, C. (2018). Making sense of family language policy: Japanese-English bilingual children’s creative and strategic translingual practices. International Journal of Bilingual Education and Bilingualism, xx(xx), xx-xx.

複数言語を話す家庭環境で、日本語を保持する目的でよく利用されるOPOL (One-parent-one-language) policyについての研究です。OPOLは、複数言語を話す家庭では、親がそれぞれの母語のみを使って子どもと話をするという家庭言語方策の一つです。非常にコンセプトとして簡単なせいか、比較的認知度が高く、自分も、まったくバイリンガル教育などに経験がない人からも「ちゃんと子どもには日本語だけを話している?」みたいなことをよく言われます。

この研究は、”translanguage”という比較的新しいコンセプトに則った研究で、どちらかというと、言語の文法的な運用(正しいグラマーが使われているかどうか)とかよりも、言語の機能席な運用(どういった目的で言語利用をしているか)の方に重点が置かれています。主な論点としては、OPOLでは、日本語を使っていたら、日本語のみで会話するというようなことが重視されることが多いが、英語が混ざっていても、それが機能的な目的で使われていれば、会話言語が混ざっていても、それを間違いと考えるのは良くないという感じです。

例えば、兄弟喧嘩などで、突然日本語と英語が混ざった会話をし出した時に、それが日本語での言語的な限界から英語になったのであれば問題ですが、子供が日本語の特性を利用するために日本語と英語を混ぜていたのであれば(たとえば、英語の方が日本語よりも直接的な表現で喧嘩相手と交渉できるので日本語から英語に変えた)、それは全く自然な言語利用であり、OPOLでも間違いとして正すことはよくないみたいな感じだと思います。

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